エフエムTARO 2023 放送内容

エフエムTAROの放送について

会員の歯科医師がエフエムTARO(コミュニティFM放送76.7MHz)に出演し、歯科に関する最新情報などについて分かりやすく解説しています。

放送日時

毎月第3火曜日 13:20頃~(予定)

1月 スポーツマウスガード

2月 歯科衛生士ってどんな仕事??

3月 部分入れ歯の話

4月 あきらめないで、お口の健康 ~口腔機能低下症~

5月 第29回 歯と口の健康フェア

6月 マスク生活もひと段落、あなたは大丈夫?

7月 ~睡眠時無呼吸症候群(いびき)について~

8月 ブラキシズムって何?

9月 根面う蝕を知っていますか?

10月 タバコがお口に与える悪影響

11月 「ルーダスゴディス(Lördagsgodis)」

12月 太田新田歯科医師会から年末年始の休日当番のお知らせ

 

タバコがお口に与える悪影響

一般社団法人太田新田歯科医師会

幸生歯科医院
院長 山田 幸生

タバコは癌や血管の病気の大きな原因として知られていますが、実は最初に通過する口への悪影響がとても大きいことをご存じですか?

タバコには4000種類もの化学物質が含まれており、その中の200種類が有害物質、70種類は発がん性を持っています。このような物質が毎日幾度となく通過することで、徐々にお口の中に様々な変化を起こしていくのです。

今日はお口に与える悪影響を6つにまとめてお話しさせていただきます。

1.歯周病

タバコを吸うと歯茎の血流が悪くなって、歯茎の細菌に対する免疫力が落ちます。また歯茎が酸素不足に陥り、空気を嫌う歯周病菌が活発になって歯周病が発症・進行しやすくなります。タバコを1日に10本吸う人は吸わない人に比べて5.4倍も歯周病リスクが高くなるという調査結果が出ています。

2.ヤニによる汚れ

タバコのヤニはべったりと歯の表面にこびりつき、1度つくとなかなか取れません。ヤニは見た目だけでなく有害物質をジワジワと放出し続けるという意味でもよくありません。

3.口臭

タバコを吸うと歯周病にかかりやすくなり、それに加えてタバコ独特の匂いが混ざりあってひどい悪臭となる場合も珍しくありません。

4.歯茎の色の悪化

タバコを吸うと毛細血管が収縮するため、周囲の歯茎や唇の色がどす黒く変化していきます。またビタミンCも破壊されるためメラニン色素が沈着し、さらに黒っぽくなっていきます。

5.口腔ガン

タバコはお口のガンのリスクも高めます。特に喉頭がんに関しては32.5倍もリスクがアップすると言われています。

6.お口の傷の治りが悪くなる

タバコを吸っていると、歯茎や粘膜などの免疫力が落ちるため、傷の治りが悪くなります。そのため、抜歯後の治りが悪くなり、歯周病の治療をしても治療効果が出にくくなります。またインプラント治療をしてもインプラント体と骨がくっつきにくく、インプラント周囲に細菌感染を起こしやすいため、喫煙者には通常インプラントは勧められません。

 

以上大きな悪影響6つについてお話させていただきました。喫煙されている方には耳の痛い話になったかもしれませんが、禁煙を考えるきっかけになれば幸いです。なお加熱式タバコにもニコチンはほぼ同量含まれていることもお忘れなく。

「習慣だからと」毎日何気なく吸いこんでいるその煙。ちょっと立ち止まって考えてみませんか。日々の暮らしが5年後、10年後の自分を作ります。私達歯科は皆さんの禁煙を応援しています。

根面う蝕を知っていますか?

一般社団法人太田新田歯科医師会

とねき矯正歯科医院
院長 渡木 澄子

デンタルケア意識の向上により、子供の虫歯は減少傾向にありますが、中高年以降、特に高齢者の間で「大人の虫歯」が増加してきています。子供と大人で虫歯は違うの?と思うかもしれませんが、虫歯になる場所が変わってきます。

一般に虫歯と言えば歯肉から外へ出ている部分(歯冠部)の虫歯のことを指しますが大人の虫歯は歯と歯肉の境目、歯の根元(歯根)の部分に好発し根面う蝕といいます。年齢を重ねていくとお口の中の変化として歯肉の低下(歯肉退縮)がおこり歯が長くなったようにみえることがあります。

特に歯周病にかかると歯肉の退縮が進み、健康な時には歯肉にかくれていた歯根が外に現れてしまいます。歯冠の表面はエナメル質に覆われていますが、歯根はセメント質に覆われています。エナメル質に比べセメント質は柔らかく表面がザラザラしているので、汚れが付着しすく虫歯にかかりやすいのです。

また根面う蝕は、治療しにくい虫歯といわれています。歯冠の虫歯の多くは外から中へ向かって縦に進行するのに対し、根面う蝕は歯と歯肉の境目に沿って横に進行して歯の周りをぐるりと取り巻きます。
また痛みがないため気づきにくく、歯冠部が健全な状態で残っているのに歯根が環状に虫歯になっている場合もあり、やむおえず抜歯をせざるを得ないなど重症化しやすくなります。

根面う蝕に対する治療は難しいといわれています。歯冠部の虫歯には接着性プラスチックを詰めて治すことも多いのですが、エナメル質には十分な接着強度があるこの材料も、セメント質や象牙質にはまだ完全な接着の性能がありません。

このようなことから、不用意に削らず進行を抑制し、管理することが治療法の1つとし提唱されています。歯肉の退縮が気になり始めたら、歯医者さんでの定期的なメンテナンスに通うことが大切です。

気になる方は歯医者さんで相談してください。

ブラキシズムって何?

太田新田歯科医師会

おおた阿部歯科クリニック
院長 阿部 義則

 

余り聞きなれない言葉だと思いますが、ブラキシズムとは主に「歯ぎしり」や「食いしばり」などの習慣的な癖のことです。

原因は明確になっていませんが、ストレスや歯並びの乱れやかみ合わせの悪さなどが要因と考えられています。

歯ぎしりとは

無意識に上下の歯を強い力ですり合わせている状態です。睡眠時にやっていることが多く、歯と歯がこすり合わさるので「ギリギリ」音がします。

主な症状は、詰め物の脱離、歯牙破折、知覚過敏、歯肉退縮、顎関節症、頭痛や肩こりなどが起こりやすくなります。治療法は、一般的にはナイトガード(マウスピース)の装着や、かみ合わせの調節を行います。

食いしばりとは

上下の歯を強い力で噛みしめている状態です。昼夜を問わず起こりますが、自分では噛みしめていることを自覚していないことがほとんどで、音もしません。通常、人間はリラックスしているときは上下の歯は接触していなくて、2~3ミリほど離れています。それが、食いしばりをしていると、常時強い力で噛みしめているので、歯牙や歯茎や顎関節に大きな負担がかかっています。

症状は歯ぎしりとほとんど同様ですが、特に歯牙破折のリスクが高くなります。治療法もナイトガードの装着や、かみ合わせの調節が有効ですが、まずは、

食いしばりを自覚することが重要で、日常生活において食いしばりをしていることに気付くことにより、食いしばりを予防することができます。

食いしばりや歯ぎしりにより、虫歯になりやすくなったり、歯周病が重症化したりすることが分かっていますので、身に覚えのある方は一度、歯科医院を受診されることをお勧めいたします。

~睡眠時無呼吸症候群(いびき)について~

太田新田歯科医師会
MK歯科クリニック
院長 増田康展

コロナウイルス感染症の感染拡大にて、開催が中止となっておりました太田新田歯科医師会主催の市民公開講座が、昨年2022年11月13日(日)太田市学習文化センター視聴覚ホールにて、

 

~医科歯科連携~

そのいびき、息が止まっていませんか?睡眠時無呼吸症候群か??

という演題で3年ぶりに開催されました。

講演をお聞きになった方もいらっしゃるとは思いますが、今日は睡眠時無呼吸症候群(いびき)についてお話しさせて頂きます。

先ず、睡眠時無呼吸症候群とは?一晩の睡眠中に無呼吸(10秒以上の呼吸気流の停止)がありNON‐REM睡眠期(ぐっすり眠っている時)にも出現するもので、1時間当たりの無呼吸回数が5回以上のものを言います。

睡眠の質と量、良く眠れることは健康維持にとても重要で睡眠の病気は全身に関わる病気の原因となります。最近では、トラックやバス、一般の車の事故が、睡眠時無呼吸症候群が原因のひとつではないかと言われています。

睡眠時無呼吸症候群の原因は、形態的異常として、肥満・扁桃腺肥大・巨舌症・小下顎症など、機能的異常として、気道の筋力の低下(舌根沈下)などにより起こるとされています。

睡眠時無呼吸症候群の担当科は、精神科・呼吸器内科・神経内科・耳鼻咽喉科・歯科など多くの科が関わっております。治療としては、呼吸器内科などで CPAP(シーパップ)という鼻につけるマスクを使用し、陽圧の空気を送り込み、上気道を広げ、開存を補助する治療法があります。歯科では、口腔内装置(専用のマウスピース)を装着し、下顎を前方に移動させ気道を開存し無呼吸を改善させる治療や口腔外科的手術(肥大した扁桃腺の切除)などがあります。

心配な方は、呼吸器内科など早めにかかりつけ医を受診していただきたいと思います。

当会ホームページの市民公開講座の欄にもう少し詳しく掲載されておりますので、ご興味のある方は是非ご覧下さい。