令和6年 第30回 歯と口の健康フェア ~歯っピーライフで8020~

一般社団法人太田新田歯科医師会

公衆衛生委員会担当理事

MK歯科クリニック 院長 増田康展

 

令和6年 第30回 歯と口の健康フェア ~歯っピーライフで8020~

 

太田新田歯科医師会では、「6月4日 むし歯予防デー」にちなみ6月2日(日)イオンモール太田2Fイオンホールにて、午前10時から午後3時まで「歯と口の健康フェア~歯っピーライフで8020~」と題し、市民の方々への歯科情報の提供、口腔ケアに対する意識の向上をして頂く事を目指したイベントを開催します。

今回で30回目の開催となる「歯と口の健康フェア」ですが、昨年はコロナ禍の為4年ぶりに規模を縮小して開催致しました。今年は感染対策に留意しながらもコロナ前のような活気のあるイベントにしたいと思っております。また、太田市内の小中学生を対象にご応募いただいた歯科保健啓発図画ポスター標語コンクールの優秀作品の展示会も兼ねております。

 

今回の内容は

  • お口の中のバイキンを見てみよう(位相差顕微鏡)【太田新田歯科医師会】
  • 歯科相談【太田新田歯科医師会】
  • フッ素を塗って丈夫な歯、歯みがき指導【群馬県歯科衛生士会東毛支部】
  • 指型とり体験【太田歯科技工士会】
  • 子供向け釣りゲーム【太田栄養士会】
  • 血管測定・体脂肪率測定・介護相談・健康相談【群馬県看護協会太田地区支部】
  • 健康寿命延伸に関する事(フレイル予防・減塩・クイズなど)【太田地区・職域連携推進協議会】
  • 「歯科保健啓発図画ポスター標語コンクール」優秀作品展示【太田市教育委員会、太田市学校保健会・太田保健福祉事務所】

 

ミニ市民公開講座

11:00 歯科訪問診療って? 【太田新田歯科医師会】

11:30 人生健康でいられるためには?  ~健診から始まる歯科との付き合い方~ 【太田新田歯科医師会】

13:30 歯の栄養の紙芝居【太田栄養士会】

14:00 口腔ケア新商品紹介【 グラクソ・スミスクライン・コンシュウマー・ヘルスケア・ジャパン(株)】

このフェアを機に、歯と口の状態に関心を持っていただき、日頃の口腔ケア、健康管理に役だてて頂ければ幸いです。入場は無料でご来場の方々にはプレゼントもご用意しておりますので、ぜひお越しください。

誤嚥性肺炎と入れ歯の清掃について

一般社団法人太田新田歯科医師会
医療法人社団 聖医会 田中歯科医院

田中 靖人

#1 誤嚥性肺炎とは疾患や加齢により、ものを飲み込む機能が低下し、口から食道に入るべきものが気管に入ってしまい引き起こされる肺炎を言います。唾液や食べ物、胃液などとともに細菌を気道に吸引することで起こります。飲み込む機能が低下した高齢者や脳梗塞後遺症、パーキンソン病などの神経疾患、寝たきりの患者さんに多く発生します。誤嚥性肺炎は発熱や咳、膿のような痰などの典型的な肺炎の症状が少なく、何となく元気がない、食欲がない、のどがゴロゴロするなどの症状のみが多いことが特徴です。

しかし、#2 誤嚥性肺炎は我が国の死亡原因の6位になるおそろしい疾患です。

この、誤嚥性肺炎の予防には
①禁煙
②摂食嚥下リハビリテーション
③口腔ケア
④肺炎球菌ワクチンの接種

がおこなわれます。

誤嚥性肺炎の予防の中で口腔ケアの一環として行われる、今からできる入れ歯の清掃についてお話します。

もし今、これをお聞きの方で入れ歯を装着している方がいらっしゃいましたら、入れ歯を外して触ってみてください。もし、ヌメヌメしているところがあれば要注意です。

#3 入れ歯のヌメヌメは細菌が集まってできたバイオフィルムであり、台所や風呂場の排水溝のヌメヌメと同じものです。このヌメヌメが口の中に入っているだけでなんだか病気になりそうです。このヌメヌメは洗い流すだけではなかなか取れず、こすり洗いが必要です。

#4 正しい入れ歯の洗い方は、入れ歯用のブラシと入れ歯用の歯磨き粉でこすって汚れを落とします。通常の歯磨き粉は研磨剤の影響で、入れ歯がすり減ってしまうので使わないでください。こすり洗いの後に入れ歯洗浄剤でつけおき洗いをします。一晩、つけおき洗いののちに、入れ歯を流水下でよくすすぎ、口の中に装着します。

#5 口の中が不潔になっていると認知症が起こりやすくなることが最近の研究で明らかになってきています。下着も一日一回は着替えて洗濯するでしょう。ぜひ入れ歯も毎日きれい洗い、清潔の口を保ち、健やかな日々を過ごしていただければと思います。

入れ歯の汚れがたまっていて、なかなかきれいにならない、ヌメヌメが落ちずに心配な場合は、かかりつけ歯科医院にご相談ください。太田新田歯科医師会では訪問診療を行っています。ご来院が難しい方はご相談ください。

 

#1 一般社団法人 日本呼吸器学会

#2 厚生労働省

#3 大阪市立大学大学院医学研究科 細菌学

#4 公益社団法人 日本補綴歯科学会

#5 神奈川県歯科医師会

定期的に歯医者さんに行っているのにむし歯が出来てしまう?

一般社団法人太田新田歯科医師会

尾島デンタルクリニック

理事長 林崎 雅樹

 

定期的に歯医者さんに通うことや予防歯科はとても大切で、痛くなったり何か困ったことがあるときだけでなく定期的に通うことがとても大切です。

今回はその上でよく聞く誤解を少し解こうと思います。

定期的に検査やメインテナンスとして通っている方がむし歯が出来てしまったり歯周病が悪化してしまうこともあります。

それに対して「歯科医院に通っているのにむし歯になるのはおかしい」「ちゃんと診ていないのではないか?」などとおっしゃる方もいます。

確かに歯医者も「予防歯科は大事です」「定期的に歯医者に通ってむし歯にならないようにしましょう」という話もするのでお気持ちはわかります。

ですが、そもそも「毎年の健康診断を受けるだけで、全く病気にかからないと思いますか?」とお伝えしています。検査は検査であり、今どのような状態かを知ることが目的です。 健康診断で糖尿病と言われて食事指導を受けた人が気にせずに1年間好きな物を食べ続けた場合、1年後に治っているでしょうか?悪化している可能性が高いですよね。

歯科医院によって歯石の除去なども含めていわゆる「クリーニング」と呼ばれる予防歯科につながることをしてもらっている方も多いと思います。

ですが、仮に3~4カ月に一度歯科医院でケアをしていたとしても、当たり前ですが、30分~60分の歯科医院の処置で3~4カ月間のむし歯が出来ないという保証は不可能です。たった30分~60分で3か月(=44,600分間)のむし歯菌を抑えることは出来ません。

普段の歯磨きもですが、普段の食生活にも大きく左右されます。

特に子どものむし歯は砂糖の摂取量やタイミングに大きく左右されるのはもちろん、乳歯や生えたばかりの永久歯は柔らかく、数カ月で一気にむし歯が神経まで進むことも珍しくありません。

当たり前ですが、むし歯の治療をしても子どもが1日に飲むジュースの量やお菓子の量が治療前と変わらなければ、すぐにむし歯は再発します。

食生活や歯磨きの仕方、歯並びなど人によってリスクも様々です。定期的に歯医者さんに通ったらむし歯にならない、歯磨きをちゃんとしているからむし歯にならないなどの簡単な話ではないからこそ、私たちお口のプロである歯科医師がいます。

定期的にかかりつけの歯医者さんに通うことはもちろん、ご自身のお口の状態とむし歯や歯周病にならないための方法を相談してみてください。

歯科健診で歯の病気早期発見

太田新田歯科医師会

おおたモール歯科
八木 大輔

私たちの平均寿命は伸び「人生100年時代」といわれるようになりました。口の中の健康は健康寿命に大きく関係しています。ある研究によると歯の数と認知症の関係性が確認されています。歯を失うことで脳への刺激が減り、残っている歯が少ないほど認知症のリスクが大きくなるという結果も出てきています。また、歯は食べ物を噛み砕くためだけのものではなく、会話の発音を助けたり顔の表情をつくるなど日常生活に必要な役割を持っています。歯を1本でも失うと食べ物が食べづらかったり噛みづらくなるだけでなく体全体にも影響が出てきます。

そう考えると、健康寿命を延ばして自分の歯をいかに1本でも多く残せているかということと、残っている歯がどれくらい健康な状態かが重要になります。そして、歯の健康を維持する上で影響を与える病気が歯周病です。

歯周病は歯茎が炎症してしまう病気で30代以上の方ですと3人に2人は歯周病をもっているといわれており、歯に悪いだけでなく、炎症した歯茎から細菌が身体に入り込み、血管を通じて全身に悪さをします。

それにより糖尿病・高血圧・脳梗塞・認知症などの病気を引き起こしやすくなるということが分かっています。

1日でも長く健康な歯を維持するために、歯のトラブルを早期発見・早期治療を行うことが重要で、そのためには歯科検診を定期的に受けて、小さい虫歯のうちに治療すれば、痛みが出てから治療するより治療回数・治療費も最小限に抑えることができます。

また、歯が健康な人は生涯にかかる医療費が虫歯のあるかたよりも低いという報告もあります。

乳幼児から高校生までは毎年歯科検診が義務づけられているため歯の病気に気づくことができますが、成人になると歯の健診を受けられていない方が多いといわれております。

しばらく歯医者さんに行っていない人は歯の痛みや違和感がなくても一度お近くの歯科医院にご相談してみてはいかがでしょうか?

「ルーダスゴディス(Lördagsgodis)」

一般社団法人太田新田歯科医師会

ピース歯科・矯正歯科

院長 長尾 泰好

北欧のスウェーデンは虫歯予防の先進国です。そこに至ったには、さまざまな理由がありますが、その一つをご紹介します。

毎週土曜日に限り子供がお菓子を食べても良いという習慣があるらしいです。この文化は「ルーダスゴディス(Lördagsgodis)」と呼ばれます。

ゴディスgodisスウェーデン語で「ルーダスLördag」は「土曜日」、「ゴディスgodis」は「お菓子、キャンディ」を意味します。土曜日のお菓子という意味です。

義務や法律ではありませんが、特に子供がいる家庭で、毎週土曜日の楽しみとして取り入れられているそうです。

日本ではIKEAのお菓子として、知られています。

生まれたきっかけは、1950年代、経済の発展に伴い砂糖の消費量が上がり、虫歯の人が増え、その対策として「お菓子を食べるのは土曜日だけにしよう」というキャンペーンを当時の政府が打ち出したのが始まりだそうです。

そこから習慣化され現在にはスウェーデンのすばらしい文化となっています。

お菓子や甘いものは、私も好きです。食べちゃ悪いものという認識をしなくていいと思います。

スウェーデンでは毎週土曜日にまとめて食べていますが、重要なのは、食べる回数、時間帯、食べている時間、その後の歯ブラシです。 虫歯予防は子供のうちが一番重要になります。砂糖が入っているお菓子や飲み物は一旦おいしさを知ったら止めることは難しいので、与えるのは、なるべく遅くし3歳以降が望ましいです。だらだら時間を決めずに食べると虫歯のリスクは増加するので、時間や回数を決めて、食べたり飲んだりしましょう。

ちなみ糖質が、食品100gもしくは飲料100mLに対して0.5g未満量以下であれば、「シュガーレス」「ノンシュガー」「無糖」「糖類ゼロ」などと表示ができるので、全く虫歯になるリスクがないわけではありません。