タバコがお口に与える悪影響
一般社団法人太田新田歯科医師会
幸生歯科医院
院長 山田 幸生
タバコは癌や血管の病気の大きな原因として知られていますが、実は最初に通過する口への悪影響がとても大きいことをご存じですか?
タバコには4000種類もの化学物質が含まれており、その中の200種類が有害物質、70種類は発がん性を持っています。このような物質が毎日幾度となく通過することで、徐々にお口の中に様々な変化を起こしていくのです。
今日はお口に与える悪影響を6つにまとめてお話しさせていただきます。
1.歯周病
タバコを吸うと歯茎の血流が悪くなって、歯茎の細菌に対する免疫力が落ちます。また歯茎が酸素不足に陥り、空気を嫌う歯周病菌が活発になって歯周病が発症・進行しやすくなります。タバコを1日に10本吸う人は吸わない人に比べて5.4倍も歯周病リスクが高くなるという調査結果が出ています。
2.ヤニによる汚れ
タバコのヤニはべったりと歯の表面にこびりつき、1度つくとなかなか取れません。ヤニは見た目だけでなく有害物質をジワジワと放出し続けるという意味でもよくありません。
3.口臭
タバコを吸うと歯周病にかかりやすくなり、それに加えてタバコ独特の匂いが混ざりあってひどい悪臭となる場合も珍しくありません。
4.歯茎の色の悪化
タバコを吸うと毛細血管が収縮するため、周囲の歯茎や唇の色がどす黒く変化していきます。またビタミンCも破壊されるためメラニン色素が沈着し、さらに黒っぽくなっていきます。
5.口腔ガン
タバコはお口のガンのリスクも高めます。特に喉頭がんに関しては32.5倍もリスクがアップすると言われています。
6.お口の傷の治りが悪くなる
タバコを吸っていると、歯茎や粘膜などの免疫力が落ちるため、傷の治りが悪くなります。そのため、抜歯後の治りが悪くなり、歯周病の治療をしても治療効果が出にくくなります。またインプラント治療をしてもインプラント体と骨がくっつきにくく、インプラント周囲に細菌感染を起こしやすいため、喫煙者には通常インプラントは勧められません。
以上大きな悪影響6つについてお話させていただきました。喫煙されている方には耳の痛い話になったかもしれませんが、禁煙を考えるきっかけになれば幸いです。なお加熱式タバコにもニコチンはほぼ同量含まれていることもお忘れなく。
「習慣だからと」毎日何気なく吸いこんでいるその煙。ちょっと立ち止まって考えてみませんか。日々の暮らしが5年後、10年後の自分を作ります。私達歯科は皆さんの禁煙を応援しています。