二次う蝕とは?

 治療ずみの歯が、また虫歯になってしまったという経験はありませんか?

詰め物やかぶせ物のある歯の下や周囲にふたたびむし歯ができることを「二次う蝕」といいます。

 二次う蝕は、ふつうのむし歯と同様、細菌が出す酸によって歯の表面のカルシウムが溶けることによっておこります。お口の中には、常に水分があり、熱いものを飲んだり、冷たいものを食べたりと、急激な温度差にさらされます。しかも数十キロにもおよぶかむ力も加わります。こうした条件のもとで、詰め物、かぶせ物と、歯の境目に隙間が生じることがあります。また詰め物と歯には素材の性質に違いがあり、境目にギャップを生じることがあります。こうしてできた隙間から、細菌や酸は入り込みむし歯をつくっていきます。

 歯がしみたり、痛んだりして気ずき来院される方もいますが、詰め物、かぶせ物の陰に隠れて進行するため、なかなか発見しにくいのが特徴です。気が付いたときには、進行していて歯を抜かなければならないこともあります。

 二次う蝕、つまり、やりなおしの治療を繰り返していると、結果的に歯を失うことにつながります。

 「治療をしたから、これで大丈夫」と油断しないでください。治療は、たんに壊れた歯の修理をしただけです。歯が壊れたもとの原因、つまり、細菌を取り除かなければ、再び細菌感染を起こし、むし歯ができてしまいます。治療した歯の隙間には、細菌が入り込みやすく、汚れがたまりやすくなっています。

 そこで、この二次う蝕を防ぐにはどうすればよいか。セルフケアと、メインテナンスが一番重要となってきます。

 歯科医院で、セルフケア、つまりブラッシングなどの指導をしてもらい、定期的にメインテナンス、クリーニングをうけてください。フッ素による予防処置も大切です。このことで、お口の中が清潔に保たれていると、細菌の数が減り、むし歯になりにくい環境へとお口の中が変わっていきます。このことにより、二次う蝕を含めたむし歯を、効果的に予防することができます。

フッ素の上手な使い方

 フッ素についてはよく耳にしたり、歯医者さんで定期的に塗ってもらっている人も多いと思います。

むし歯の予防としてフッ素を使用する方法としては、

1・フッ素入り歯磨き粉 2・フッ素洗口 3・歯科医院でのフッ素塗布などがあります。

 

フッ素入り歯磨き粉は、誰でも簡単に入手でき、簡単にむし歯予防に応用できます。

歯の萌出(6カ月頃)から使用して大丈夫です。但し、6カ月~2歳位までは切った爪

程度の少量のみの使用とし、3~5歳で5㎜以下、6~14歳で1㎝程度、15歳以上で

2㎝程度という目安で使用して下さい。いずれの場合も就寝前が効果的で、うがいが

できる子であれば歯磨き後10~15mlの水で5秒程度ブクブクし、うがいは1回のみで

その後は飲食はしない様にして下さい。フッ素入り歯磨き粉のむし歯の予防効果は25~40%と比較的高いです。

 

 フッ素洗口とは、低濃度のフッ素の洗口液を使い、毎日30秒~1分ブクブクと洗口して、あとは吐き出してもらうものになります。保育園や幼稚園の永久歯萌出直前の

4・5歳時から中学校までの継続実施により、45~80%ととても高いむし歯予防効果を認めています。

フッ素洗口の使用はむし歯予防効果が最大限に発揮できる4~14歳児までの継続利用が推奨されています。その理由は、永久歯の萌出時期であり、萌出したばかりの歯は未成熟な為、むし歯になるリスクが高いからです。

 またそれ以外に矯正を行っている方や成人の方の知覚過敏の予防、お年寄りの方などで

歯ぐきが下がり、歯の根が出てきている部分の根面う蝕の予防など幅広くむし歯の予防に

使用する事ができます。ご希望される方は歯医者さんで相談して下さい。

 

 歯科医院でのフッ素塗布については、歯磨き粉やフッ素洗口と違い高い濃度のフッ素を

年に3~4回定期的に塗布してむし歯を予防するものになります。始める時期については

歯医者さんと相談して下さい。

 

これらの方法を併用していく事によりむし歯になるリスクはかなり抑えられると

思います。但し、フッ素を使用しているからと過信しすぎて歯を磨かないという様では

むし歯になってしまいますので、きちんと毎日歯磨きをして、補助的にフッ素を使う事を

お薦めします。

6月4日はむし歯の日?

 6月4日はむし歯の日としてよく知られています。これはお偉い方が初めてむし歯になった、あるいは治したのを記念した日、ではなく。甘いものを国民に食べさせて国民をむし歯にして、それを治すことによっておかねもうけしようという悪い歯医者の策略で出来た日、でもありません。

 1928年に日本歯科医師会がむし歯予防デーとしてその読み方にちなんだ記念日を6月4日に決めました。ちなみに先ほど言いましたように、6月4日はむし歯の日ではなく、むし歯予防デーが正しいのです。これは、先ほどの悪い歯医者が、『むし歯を呼ぼうでー』といっているのではなく、むし歯を予防するための日、という意味です。

この時期は新年度がはじまって少し経っていて歯科健診の時期としても適当でしたので、1939年からは文部省および厚生省の共同管理となりました。1955年からは「歯の衛生週間」が、6月4日から6月10日までもうけられ、大体そのあたりに学校健診をしたことから、日本国民に浸透したと思われます。

 この6月4日はむし歯を予防するための記念日ですが、最初にお話したようにむし歯の日として誤解を与えそうだということもあり、別の4月18日が「良い歯の日」として1993年に日本歯科医師会によって制定されました。また同時に、11月8日を「いい歯の日」と制定したのも日本歯科医師会で、同じような記念日を二つ設けるとはちょっと節操がないようにも思いますが、制定したのには間違いありません。11月8日には日本歯科医師会主催でベストスマイルオブザイヤーの授賞式も行われます。

 さて他の歯科に関わる記念日と言えば、日本矯正歯科学会は同じ11月8日を「いい歯並びの日」と制定しています。主催者が変われば呼び名も変わるということでしょうか。同じ矯正関係でも日本臨床矯正歯科医学会は8月8日を歯が並んでいることから「歯並びの日」と制定しています。また佐藤製薬は11月8・9日をいい歯ぐきとし、歯ぐきのケアの大切さを説くために「歯ぐきの日」と制定してPRイベントを行っていますし、サンスターは毎月8日を「歯の日」と呼び販売促進のために力を入れようとしています。

その他、歯科に関係する記念日としては、全国保険医団体連合会が提唱した「保険で良い入れ歯を」運動のために、10月8日の「入れ歯デー」が定められています。驚いたことに5月2日は「歯科医師記念日」となっています。何でも1957年の歯科医師法施行にちなみ制定されたとか。しかし制定されているからと言って何か特別なことがあるようには見うけられません。

たいていの○○の日というのは、昔からのしきたりや、言い伝えが無い限り、その関係者が言い出す、言い始める、悪く言えば『でっち上げる』事が多いようです。それに、たとえかなり昔から神話のようなものがあったとしても、その言い伝えは原始時代からあるわけではないのだから、誰かが言い出したのに違いありません。歯に関する記念日は、ほとんどが建国記念の日のような神話に基づいた記念日というよりは、どうも語呂合わせで決められた日ばかりのようです。このことから、日本には歯に関する神話が無かったのだとも分析できますし、歯医者は昔から親父ギャグが好きだったのだ、とも分析できます。よく考えて見れば歯科医師会はおじさんの集まりですね。

しかし、たとえ寒い語呂合わせでも、語呂合わせは覚えやすく、覚えやすければ国民に浸透しやすく、浸透すれば歯の健康等をアピールしやすく、アピールしやすければ国民への歯の大切さの啓発になり、結果的に国民の幸福と富に患者の掘り起こしにもつながりますので、決して悪いことではないと思います。

2011年4月

今日は6才臼歯と呼ばれる大人の歯についてお話したいと思います。

よく6才臼歯という言葉を耳にすると思いますが、これは乳歯の奥歯のさらに奥にはえてくる永久歯で、6才頃にはえてくるので6才臼歯と呼ばれています。

この歯は一番大きくて、咬む力も最も大きい歯です。ですから、永久歯の中でもとても大切な歯なのです。

しかし、その反面、永久歯の中で一番初めに虫歯になってしまい、最も虫歯になりやすい歯でもあります。

なぜ、6才臼歯が虫歯になりやすいかというと、奥にはえるため、はえはじめに気がつきにくく、はえきるために1年から1年半くらいもかかります。その間、歯の形も、咬む面の溝が深く複雑で、歯磨きしにくい形をしているからです。

ですから6才臼歯を磨くときは、小さめの歯ブラシを斜めから入れて、6才臼歯の咬み合せの面だけを選んで磨きます。

歯ブラシの毛先を歯にきちんとあてて、小さく前後に動かします。

少し長めに丁寧に磨いてみましょう。

6才臼歯がきちんと最後まではえ終わるのが、個人差もありますが、7~8才と言われて

いますので、その頃まで保護者の方が仕上げ磨きをしてあげて下さい。

永久歯は乳歯より固く、虫歯になりにくいと言われていますが、特にはえはじめてから2~3年はまだ歯自体が未熟で弱く、虫歯になりやすい状態ですので、気をつけて下さい。

もし、虫歯になってしまったなら、早めに治療を開始して下さい。

出たばかりの永久歯が虫歯になると、進み方が早く、痛みを感じる頃には見た目には小さくても、中は深く大きく広がっていることが多いからです。

また、6才臼歯を痛がるときは虫歯だけではありません。歯が出てきている途中で、歯の上に部分的にかぶさった歯ぐきを噛んで傷つけてしまうと、それだけでも痛いうえに細菌が侵入すると炎症が広がってズキズキ痛みを訴えることもあります。

その他にも腐骨と呼ばれる白い小さな固まりが6才臼歯の咬み合せの所にかぶさっている歯ぐきの所につくことがあります。自然にポロッととれることもありますが、ゴロゴロして咬むときに痛みがある場合があります。

歯の出方には個人差があって必ずしも6才に、6才臼歯がはえ始めるとは限りませんが、まれに上下の前歯が4本ずつはえ代わってもまだ6才臼歯がはえてこないことがあります。

このような場合には、はえることを邪魔する何かがあると考えた方がよいでしょう。

変だなと思ったときは早めに歯医者さんを受診して下さい。

永久歯の中でも特に大切な6才臼歯です。

少しでも虫歯にしないように、虫歯予防のフッ素のお薬を歯のはえ方に合わせて塗ったり、シーラントと言って歯の溝に汚れが残るのを防ぐシールをしたり、十分気をつけて下さい。

そのためにも、定期的に歯科医院で検診、チェックをおすすめします。

キシリトールでムシ歯予防

どなたでもキシリトールという言葉を一度は見たり、聞いたりしたことがあると思います。ですが、キシリトールが何であるのか?また、どのような効果があるのか?それを分かっている人は少ないのではないでしょうか。そこで、今回はキシリトールについてお話しさせていただきたいと思います。

キシリトールとは多くの果実(プラム、イチゴ、ラズベリーなど)や野菜(カリフラワー、ナス、レタス、ホウレン草など)の中に天然で含まれる自然の甘味料です。食品添加物として使用される前は輸液(点滴剤)として直接、体内に入れていました。なので、人体にとって安全な食べ物なのです。

次に、キシリトールの効果ですが、大きく分けて2つあります。1つは「ムシ歯の原因にならない」ということ。ムシ歯の原因である酸をまったく作りません。さらに酸の中和を促進する働きも持っています。もう1つは、「ムシ歯の発生、進行を防ぐ」という効果です。ムシ歯の原因となるプラーク(歯垢)をつきにくくして、歯の再石灰化を促進します。しかしながら、キシリトールだけ摂取していればムシ歯を予防できるわけではありません。歯をムシ歯から守るためには、正しく歯を磨き、フッ素入りの歯磨き粉を使用することが大切です。

最後に、ムシ歯予防に効果的なキシリトールの選び方ですが、現在では色々な製品にキシリトールが含まれていますが、甘味料としてキシリトールが50%以上含まれることが望ましいといわれています。製品としてはガムか錠菓(アメ、タブレット)に限ります。なぜならキシリトールがお口の中で長く留まるものがこれ以外にないからです。それと製品のパッケージや成分表示をよく見て「シュガーレス」表示や糖類0グラムであることを確認してください。

以上のことをふまえて上手にキシリトールを摂取してムシ歯予防に役立てましょう。