老後をそこそこ元気に過ごすために

太田新田歯科医師会
小森谷歯科医院

院長 小森谷 和之

老後をそこそこ元気に過ごすために

 

「歳をとっても歯がある人は元気」という昔からの言い伝え、聞いたことありますよね。

実はこれ、科学的な根拠があるんです。

歯が残っていて自分の歯で噛めている方、そして、歯を失ってはいても治療を受け、入れ歯を使って噛めている方は、体力の衰えがなだらかであることが、近年の研究でわかってきました。

 

Q 歳のとり方って、個人差が大きいですよね。

90歳でジョギングしている人もいれば、早くから寝たきりになる人もいますし。自分は将来どんなふうに歳をとるのかな?

A 老後の健康がどうなっていくか気になるところですね。

全国の高齢者を20年にわたって追跡調査した資料によると、早くから寝たきりになる方は男性で19%女性で12%、反対に亡くなるまでずっと元気な、いわゆるピンピンコロリの方は男性で10.9%女性ではほぼ0%です。

つまりおおよそ8割の方は徐々に体力が低下して介護を受ける生活になって亡くなっていることがわかります。

「ひざが痛い」「動くのがしんどい」といいながら、買い物もゴミ出しもするし、がんばって病院にも通う。時には介助を受けても基本的には自立した生活が出来ているという方が8割ということですね。

 

Q 自分が高齢になったとき、体力低下を防いで長生きするには何に気をつけたらよいでしょう?

A 高齢者が虚弱になっていくことを「フレイル」といいます。

このフレイルの兆候としてご自分や周囲が気づきやすいポイントがいくつかあります。

一番目立つのは体重の減少です。運動不足や栄養不良により体重が減り、目に見えてふくらはぎが痩せてきます。それにつれて「疲れやすくなる」「重い物を持てなくなる」「歩くのが遅くなる」「出かける機会が減っていく」といった変化が起きます。

フレイルの特徴は、放っておくと悪循環になるところです。

筋肉が減る→疲れやすく運動量が減る→動かないからさらに筋肉量が減る→動かないから食欲がわかない→食事量が減りさらに筋肉が減る

もうひとつ注目すべきなのが体力の低下が気力の低下に結びついてしまう点です。筋肉が減って疲れやすくなる→足が上がらず転倒しやすいと感じる→自分に自信がなくなる→出かけるのが億劫になる→社交の意欲が低下する→出かけないからさらに体力が落ちる→さらに気力が低下する

 

Q 歯がある人は丈夫で長生きだそうですが、これってホントなんでしょうか?

A 「歯がある人は丈夫で長生きだなあ」というのは多くの歯科医の感じている臨床実感ですが、約1000人の高齢者の追跡調査をした結果これが事実ということがわかりました。調査ではかみ合わせに注目し8年間にわたり生存率を調べたところかみ合わせの良い人ほど生存率が高く、かみ合わせのない人ほど生存率が低くなっていることがわかりました。

 

Q 歯が丈夫な人はバランス感覚が良く転びにくいと聞いたことがあります。

本当ですか?

A 転倒してしまうかもという不安が高齢者のフレイルの悪循環を生むというお話をしました。実際のところ転倒は、厚生労働省の調査によれば、高齢者が寝たきりになる原因の12%あまりを占め、脳血管疾患や衰弱についだ大きなきっかけになっています。

歯とバランスの関係は、やはり科学的根拠があり、歯が20本以上残っている人と19本以下で入れ歯を使っていない人の転倒リスクを調べた結果、かみ合わせなのない方は20本上残っている方に比べ2.5倍も転倒のリスクが高いことがわかります。

またかみ合わせのない方は片足立ちでバランスをとる時間も良く噛める方に比べて半分くらいになってしますという研究結果もあります。

 

Q よく噛める人はボケにくいと聞いたことがありますが、本当ですか?

A これも調査結果があります。歯が残っている人ほど認知症の割合が低くなっています。ここで注目すべきは、歯はあまりないけれど入れ歯は使っている方のデータです。自分の歯で食べている方とほぼ変わりないことがわかりました。

理由としては、咀嚼、かむことによって前頭前野が刺激されることが実験からわかっています。

さらにお口は全身の中でも、繊細なセンサーと複雑な動きをする筋肉が集まっている場所です。それだけに良くかむことによって脳の広い部分を刺激するため認知症になりにくくなるのだろうと考えられています。

親知らずについて

太田新田歯科医師会
おおた阿部歯科クリニック
院長 阿部 義則

今日は痛い、腫れるなど悪いイメージしかない『親知らず』についてお話したいとおもいます。

親知らずとは大臼歯といわれる大人の奥歯の中で一番後ろに位置する歯であり、正式には第三大臼歯といわれ智歯ともいいます。通常、永久歯は15歳前後で生えそろいますが親知らずは10代後半から20代前半に生えてきて、親に知られることなく生えてくる歯であることから『親知らず』といわれています。

全ての人が4本生えてくるわけではなくて本数はばらばらで全く生えてこない人もいて個人差があります。

親知らずが痛くなる原因の多くは『智歯周囲炎』といい、親知らずの周りの歯茎が炎症を起こしている状態です。これは親知らずが生えてくる位置が一番奥でブラッシングしづらいことや、部分的に歯茎が被っていたり、横向きになっていたりと生え方が原因で起こります。

治療法としては炎症が強い場合は、抗菌剤や消炎鎮痛剤の投与を行い消炎後に抜歯するか否かを判断します。初めて症状が出た場合は消炎後、様子をみることがありますが、腫れを何度も繰り返している場合は抜歯をおすすめします。

親知らずの抜歯では上顎の場合、骨が軟らかいこともあり比較的簡単に抜けて術後の痛みもあまりありません。一方、下顎の場合は大部分が骨の中に埋まってたり、横向きになっていたり、親知らずの位置によって抜歯の難易度がかわりそれによって術後の症状も異なります。それと下顎の場合は神経と血管の走行と親知らずの根の位置が近い場合もあるので抜歯するときは必ず術前にレントゲンやCTで位置の確認をしましょう。

基本的には抜歯をする時期に決まりはありませんが、患者さんの病気の既往歴や服用中のお薬の種類によっては抜歯を中止したり、お薬を休薬したりする場合もあります。

また、妊婦さんの場合は時期にもよりますがお薬の投薬に制限が生じたり、抜歯の可否を産科のドクターに相談したりと大変になる場合もあります。

いずれにせよ痛みは待ってくれませんので痛くなくても予防的に抜歯するのも1つの方法ではないでしょうか。

H28,11.17 乳幼児摂食機能研修会

平成28年11月17日(木)

太田新田歯科医師会 公衆衛生委員会

担当理事 尾内正芳

乳幼児摂食機能研修会

~乳幼児健診における食機能支援のポイント~

群馬県健康福祉部保健予防課

群馬県歯科口腔保健支援センター

歯科医長 石田圭吾 

平日にも関わらず、女医会の先生方を始め多くの先生方にご参加を頂き、群馬県健康福祉部保健予防課歯科医長の石田圭吾先生を講師にお迎えして、太田新田歯科医師会館において研修会を開催致しました。

内容で多くを占めていたのは、乳幼児の摂食・嚥下に関してでした。太田新田歯科医師会でスタートさせようとしているモデル事業である1歳児検診に関して、検診を円滑、かつ参加者を充分に満足・安心させることが出来る内容が盛り込まれておりました。

摂食・嚥下の発育段階に関しては、過去学生時代に学びました。また自身や周囲の人の育児に関わることでも実践しておりましたが、忘れてしまったことが多く、我流に頼ってしまっていた点があることに気付かされました。

摂食・嚥下の流れを再度確認しただけではなく、時期ごとの特徴や注意点を学ぶことが出来ました。一方、必ずしも発達のカスケードに従わないという点の確認も重要と思われました。

乳幼児のみならず、その保護者に対する接し方のポイント、観察の視点も実践をされている石田先生ならではのアドバイスもあり、会場を盛り上げて頂きました。

モデル事業とはいえ、1歳という母子ともに非常にデリケートな時期に検診をすることに不安がありましたが、講演の内容はボリュームがあり不安を払拭することが出来ました。

今回の講演で得た知識は、他の乳児・幼児の検診にも応用することができ、非常に有意義な時間を過ごすことが出来ました。

H28,11,17 乳幼児摂食機能研修会

乳幼児摂食機能研修会

 

文責  公衆衛生委員会 生方真人

歯並びを悪くする原因はなに?

太田新田歯科医師会

自立支援医療機関 顎口腔機能診断施設

ファミリー歯科・矯正歯科クリニック

院長 伊谷野 秀幸

 

歯並びを悪くする原因はなんでしょうか?歯並びの悪くなる原因は、大きく分類して後天的な原因と遺伝的な原因に分けられます。今回は後天的な原因についてお話させていただきます。後天的な原因の一つは成長期に虫歯ができてしまい早期に歯が抜け落ちてしまうことが考えられます。

残っている歯が横に傾いてしまい永久歯が出てくるスペースが無くなり、歯がバラバラに並んでしまいます。また、永久歯が早く出てきてしまっても同様な現象が起こってしまいます。もう一つの原因は悪習癖です。

子どもの歯並びを悪くする原因には、口に関する癖が影響している場合があります。どのような癖が歯並びやあごの成長に影響してくるのかについてご紹介します。

思い当たる症状がある場合は矯正専門医院を受診して相談してみましょう。

・指しゃぶり

指しゃぶりは3歳くらいまでは誰でも行うものです。小学校にあがっても指しゃぶりが残っている時は要注意です。この時期は永久歯の前歯も生えてくる時期で、歯並びに影響してしまいます。顎の発育にも影響を及ぼし、骨格性の不正咬合も誘発してしまいます。

症状:上顎前突症(出っ歯)、下顎前突症(反対咬合)、開咬、交叉咬合など

・舌癖(ぜつへき)

舌の使い方が悪いと舌が歯を強く押して、前歯の突出が起こってしまいます。また、顎の成長に影響を与えることがあります。

症状:開咬、上顎前突症(出っ歯)、骨格性下顎前突症(反対咬合)など

・咬爪癖(こうそうへき)

爪を咬む癖も歯並びを悪くする一つです。

爪を咬むことで、咬みこむ歯に力が強く加わり歯が動いてしまいます。

症状:上顎前突症(出っ歯)、過蓋咬合、叢生(らんぐい歯)など

・咬唇癖

唇をかみ締める癖も歯に部分的に強い力が加わり不正咬合になってしまいます。

咬唇癖があると歯並びが悪くなるだけではなく、下顎の成長にも影響を与えます。成長期の子どもで、いつも下唇癖があると下顎の成長不良を起こしてしまいます。

症状:上顎前突症(出っ歯)、過蓋咬合、叢生(らんぐい歯)、開咬など

・頬杖

頬杖を長時間していると頭の重さで、下顎が変形してしまい上下の咬みあわせにズレが生じてしまいます。外科的に手術を行って改善しなければならない場合があります。

症状:顎変形症など