患者さんと歯科医のよりよい関係

太田新田歯科医師会

飯塚歯科医院

院 長 飯塚 光宏

 

患者さんと歯科医のよりよい関係

 

近年、コンビニや美容院より多いと言われるほど歯科医院は沢山あります。太田市・みどり市笠懸地区をエリアとした太田新田歯科医師会は、歯科医院119件、会員歯科医師132名(正会員124名、準会員8名)を有する一般社団法人として公益事業に取り組んでおります。市民の方からよくある質問に、どこか良い歯科医院を紹介してほしいとの問い合わせがありますが、当会では会員歯科医院情報はHPにて公開していますが、歯科医院の斡旋は全く行っておりません。ですから、患者さんは一般的には口コミやインターネット情報などから、歯科医院選びをすることになります。

それでは、患者さんが歯科医院に望むことは何でしょうか。痛い所だけ治してなるべく早く終わりにしたいか。全ての悪いところを時間をかけて治したいか。長期的なメンテナンスを含めて一生のお付き合いをしたいか。あなたが望む治療方針などを歯科医師にハッキリ伝えてください。そうすれば、あなたの病気の訴えと治療の希望を十分理解して治療が始まります。

しかし、治療が始まってからは、治療期間はたいへん長期間かかる場合があります。歯科疾患は長い時間をかけて悪くなりますので簡単に治すことはできません。また、歯科医師の専門的な判断から治療方針の変更もありえます。その場合は歯科医師から再度詳しい説明を受け納得して治療を継続してください。

このようにして、患者さんと歯科医師がお互いに信頼関係を結ぶことができれば、満足感の高い治療を受けることができます。長い治療の間、特に注意しなければならないのは、お互いのコンプライアンスが重要になります。歯科医師側は、患者さんが望む治療を成功に導く努力をし、患者さん側は、治療を成功に導くための様々な指導や指示をなるべく履行する。それにはお互いが十分なコミュニケーションを保ちながら治療を進めることがとても大切です。

しかし、現実には医療トラブルもあります。その原因は、約7割が誤解により起因していると言われています。誤解が解ければ和解できます。つまり、誤解さえなければトラブルに発展することはありません。歯科医師側は、真摯な態度で丁寧に説明する。患者さん側は、説明内容をメモしてわからないことは必ず質問する。双方が積極的にコミュニケーションをとることにより納得した治療を受けることができます。

さて、長い時間と治療費をかけて治療が終わっても安心してはいけません。お口の中は、栄養豊富で一定の温度・湿度環境に保たれた細菌の格好の住処です。また人は老化が進むとお口の機能低下が進みます。歯科疾患は患者さんの自覚がないままに進行することがほとんどです。ですから治療後も継続的な定期検診が重要なのです。

あなたの口腔内のことをよく知っていて、長期に渡って管理してくれる、そしてお口のことを何でも相談できる「かかりつけ医」を見つけてください。そうすれば、あなたは安心して治療を受けることができます。

 

太田新田歯科医師会について

太田新田歯科医師会

えん歯科クリニック

院 長 丸山 亮

太田新田歯科医師会について

 

今回のテーマは、我々太田新田歯科医師会の取り組みについて、ご紹介させていただきたいと思います。

FM TAROさんで約10年、毎月第3火曜のこの時間に、様々な歯の問題や治療について、レントゲンや口腔ケア用品についての説明と紹介、時には口腔と全身疾患との関連について紹介してきましたが、そもそも我々、太田新田歯科医師会についてご紹介させていただいたことがございませんでした。

太田新田歯科医師会では、リスナーさんをはじめ、市民の皆様のために様々な取り組みがございます。先日、学習文化センターで行われた市民公開座の話を中心に歯科医師会の取り組みついて、説明させていただきたいと思います。

 

本会は太田市およびみどり市笠懸地区にある歯科医院、119件124名の会員で活動しております。

地域の皆様の健康のため、学校巡回活動、1歳6ヶ月児健診、2歳児健診、3歳児健診、歯周疾患検診をはじめ、数々の事業を行っております。

皆様のために身近に役立つことができる事業として、

本会では例年、「6月4日のむし歯予防デー」にちなみ6月第一日曜日にイオンモール太田2Fイオンホールにて、「歯と口の健康フェア」を、開催しています。市民の方々への歯科情報の提供、口腔ケアに対する意識の向上をして頂くことを目指したイベントです。(今年は1500名の来場)

また、「11月8日のいい歯の日」にちなみ  11月第二土曜には学習文化センターにて、市民公開講座を開催しています。

 

先日の市民公開講座には、約200名が来場いただきました。今年のテーマは太田市の歯科訪問診療-歯科医がおうちにやってくると題して、新井町の田中歯科医院、田中靖人先生と浜町のあおい歯科・武正道代先生、お二人の先生が市内の訪問診療の現状と実際について講演させていただきました。

テーマがなかなか耳慣れないもので、往診のことでしょと思う方もいるかもしれませんので、簡単にご説明させていただきます。

往診も訪問診療も在宅医療の一つです(診療する場所の違いで、外来・入院・在宅)。医師が、診療上必要があると判断したとき、予定外に患者さんの自宅などに赴いて行なう診療が「往診」です。

これに対して、在宅医療を行なう患者さんで、疾病や傷病のため通院が困難な方に対し、医師が、あらかじめ診療の計画を立て、患者さんの同意を得て定期的に(たとえば1週間に1回あるいは2週間に1回など)患者さんの自宅などに赴いて行なう診療が「訪問診療」です。

看護師が訪問してケアを行う訪問看護、理学療法士や作業療法士が行う訪問リハビリテーションのほうが、もしかしたら身近かもしれませんが、我々歯科医師が訪問して治療するのが歯科訪問診療になるわけです。

この度、太田新田歯科医師会では、在宅歯科医療連携室を立ち上げました。このラジオをお聞きになって、ご家族・お知り合いの方で歯科通院にお困りの方がいらっしゃいましたら、歯科訪問診療について、ご依頼・ご相談をご検討ください。

0276-45-7320番もしくは太田新田歯科医師会のホームページをご参照ください。

 

この二つのイベントに加えまして、当会で力を注いでいる事業に休日診療がございます。

当会の会員が当番制で担当し、日曜祝日、お盆(8/13~16)、年末年始(12/29~1/3)に、午前10時~午後1時まで、応急処置が主体ですが、歯科医師会館内で診療を行っております。

近年日曜祝日も診療している医院もございますが、かかりつけ歯科医院がある中で、別な医院にかかるのは後ろめたかったり、拒んでしまったりするのは当然と思います。しかし症状が我慢できない、不安が強いなど緊急対応が必要かもしれない場合の受診には、当会の休日当番をぜひご利用ください。

詳細については、ホームページ、市広報に記載がありますので、そちらを参考になさってください。

 

他にも当会では、口元から全身の健康を創造する活動をたくさん行っております。

ご興味を持っていただけた方がいらっしゃいましたら、ぜひ来年の歯の健康フェア、市民公開講座へ足を運んでいただけると、我々の原動力にもなりますので、よろしくお願いいたします。

6歳でなぜ萌えないの?6歳臼歯~注意信号を見逃さないで

太田新田歯科医師会
ちえ美歯科医院
院長 大住 智恵美

 

6歳でなぜ萌えないの?6歳臼歯~注意信号を見逃さないで

皆さんこんにちは。10月になり来年度に小学1年生になる児童たちの健診である就学時健診の季節になりました。

私共歯科医は、虫歯や歯肉炎の発見だけでなく、顎や歯並びの異常もチェックいたします。

個人差があるから、などの理由で顎や歯並びの異常を経過観察したままにしていませんか?そこで、児童における歯並びの異常について最近際立って多くみられる現象とその注意点について今日はご説明したいと思います。

① 6歳児において6歳臼歯が萌えてこない、

② 7、8歳で乳歯の前歯が抜けていない、ぐらついてもいない、あるいは乳歯がぐらついていないのに永久歯が萌えてきてしまっている

これらは、その年齢において6歳臼歯や永久歯の前歯がはえきるだけの大きさの器に顎が成長できていませんよ、顎が小さいですよ、という大切なサインです。おおむね下の6歳臼歯が先に萌出し、その3,4か月後に上の6歳臼歯がはえてくればほぼOKです。

そして前歯に関しては永久歯の前歯4本がきれいに並ばない場合は顎の成長が遅れている可能性が非常に高いです。まずはこの経過地点を見逃さないようにしましょう。ゲームなどなかった時代、木登り、鬼ごっこ、泥んこになって子供たちは外で駆けずり回って遊んでいたものでした。

また、食事に関しても、現代では柔らかく、口に入れたらとろけるような感触のものが美味であると傾向が大幅に変化しています。このような生活の変化が顎の成長に影響を及ぼしていると推測できます。

顎だけ大きく成長させる、というのは自然の状態では非常に難しいので、全身の骨格を鍛えることが重要です。できれば、小学校に上がるまでは、ゲームや室内中心の遊びではなく、外で思いっきり遊ばせてしっかりとした骨格を形成させてあげるようにしましょう。

③ 中には9歳や10歳になっても上の6歳臼歯がはえてこないケースも見られます。

これは、下の顎に比べて上の顎の成長が遅れているという大切なサインです。上の顎は頭蓋骨に付随している骨です。頭蓋骨は6歳において成人の約90%にまで成長しています。そのため上の顎も頭蓋骨の成長の影響を受け、6歳児で成人の約80~90%にまで成長し、小学校高学年あたりになると成長が止まり始めます。

それに反して下の顎は成長ホルモンの影響を受けますので身長が伸び続ける限りは成長し続けてしまいます。したがって上の顎が小さいのにも関わらず、その状態を放置してしまいますとアンバランスな顔面になるだけでなく歯並びの異常も顕著に表れてきます。

特に日本人や韓国人、などの東洋人は、欧米人に比べると中顔面の前方への発達成長が遅れていて上の顎が小さい傾向に見られます。

この事実を踏まえますと、6歳でスクリーニング検査をした結果、特に上の顎が小さい場合は早期の治療が必要と思われます。6歳、もしくは小学校低学年での早期の発見であれば、成長期にある児童の成長を利用して顎の成長を加速させるような治療方法も可能です。

このような治療方法を用いることのできる専門医も増えてきていますので、少しでも心配なことがあれば、早期の受診をお勧めします。

 

 

歯周病について

太田新田歯科医師会

やながわ歯科

院長 柳川 篤志

 

『歯周病について』

みなさんは歯周病についてはっきりとした知識をお持ちでしょうか。名前は聞いたことがあるけれど詳しくはわからないという人が多いと思います。

実は成人の80%近くの方が歯周病になっているという統計があります。

早い方であれば30代からその症状が出てきます。

歯周病は軽度のときは歯の痛みもなく、自覚症状がありません。

そのため、自分が歯周病であることに気がついていない方が多いというのが現状です。

歯周病はみなさんが想像しているよりも恐ろしい病気です。

歯周病とは、歯垢(プラーク)の中の細菌によって歯肉に炎症をひき起こし、やがては歯を支えている骨を溶かしていく病気のことで、結果的に歯を失う原因となります。

歯垢(プラーク)は取り除かなければ硬くなり、歯石と言われる物質に変化し歯の表面に強固に付着します。 これはブラッシングだけでは取り除くことができません。この歯石の中や周りに更に細菌が入り込み、歯周病を進行させる毒素を出し続けます。

歯周病は痛みを感じることなく徐々に進行していくため、気づいたときには歯を支える歯槽骨が失われ支えがなくなった歯が自然に抜け落ちてしまうこともあります。

歯周病は歯を失う最大の原因です。(1位歯周病40% 2位虫歯で30% 3位破折(歯が折れる事) 10%)

また、歯周病は歯の周りだけにとどまらず、心臓病、糖尿病、誤嚥性肺炎など全身の様々な病気を悪化させる事が研究でわかっています。

大事なことは歯周病を知り早く気づき早い状態で処置を開始することです。

歯周病の最大の敵は歯垢(プラーク)です。お口の中を清潔にしていただくだけで進行を止めることができます。正しい歯の磨き方や、歯に付着した歯石を取ることがとても重要です。そのためにも定期的に歯医者さんで検診をしましょう。