子どもが歯をぶつけたら

太田新田歯科医師会

まきいこども歯科
院長 牧井 覚万

 

子どもが歯をぶつけたら

歯をぶつけたりしてケガをすることを外傷と呼びます。

歯の外傷で多い部位は上の前歯です 。よちよち歩きでテーブルの角で打った 、走っていて転んで床で打った、友達の頭がぶつかった等。

年齢でみると、圧倒的に多いのは乳幼児期から小学生の子どもたちです。

出血すると、口の中なので血が唾液に交じって、かなり血が出ているように見えて、驚いてしまうことが多いのですが、まずは落ち着いて、どこをぶつけたのか、どこから出血しているのかをよく見ることが大切です。

歯をぶつけたといっても、その状態と対処法はさまざまです 。

  1. 軽度・・・血も止まって歯も見たところ異常なしであれば、経過観察でいいでしょう。
  2. 歯がグラグラしている場合は、歯の固定が必要なこともあります。
    歯がかけたり、歯が折れたり、抜けてしまった場合でも、元に戻せる可能性があります。
    いずれの場合も、なるべく早く歯科医院を受診しましょう。
  3. しかし、ぶつけた時は何でもなくても、数日後に痛みが出たり、1ヶ月くらい経過した後に、歯の色が次第に黒くなってくる場合もあります。その場合、神経の治療が必要になることがあります。そのまま放置すると、痛みが出たり、永久歯に影響を及ぼすこともあります。
    異変を感じたら、放置せずに歯科医院を受診して、ぶつけた経緯を説明しましょう。
    もし歯が抜け落ちてしまっても、場合によっては歯を戻すことが可能です。その場合、抜けた歯を持参して、できるだけ早く受診してください。
  4. まず水道水で歯についた汚れを落とします。落とすといっても、この時、ゴシゴシこすらず、根の部分の組織(歯根膜を)を取らない程度にしておきましょう。
  5. 次に、歯が乾燥しないように水中に保管します。乾燥した状態が長く続くと元に戻せなくなる可能性が高くなるので、湿った状態で保管してください。
    学校の場合は歯牙保存液というものがあればその中にいれてください。ない場合は、新品の水のペットボトルの中に歯をそのまま入れてください。
    ただし転倒した場合、頭などを打っている可能性もあります。まず連れていくのは何科になるのかを冷静になって考えましょう。

歯科領域に外傷があった場合でも、他に症状がある場合は優先しなければならない科もあります。どのようなケースにおいても、気になることがあれば医療機関を受診し、共に経過観察していくことが大切です。月日を経たのちに症状、変化が出てくる可能性も十分にありますので、ぶつけた箇所は、その後も気にかけて、ご家庭でもよく見ていくようにしてください。

 

妊婦と授乳婦の歯科治療について

太田新田歯科医師会

おおた阿部歯科クリニック
院長 阿部 義則

妊婦と授乳婦の歯科治療について

今回は妊婦と授乳婦の歯科治療についてお話したいとおもいます。

日々の診療で妊婦と授乳婦の患者さんが来院する機会は少なくありません。しかも殆どの方がなにかしらの自覚症状を伴って来院することがほとんどです。

妊婦の歯科治療では原則として、全期間、応急処置以外の歯科治療は行わない。

初期:応急処置のみ

中期:通常の歯科治療がほぼ可能。診療時間は短く。妊婦に楽な体位。

後期:応急処置のみ

エックス線撮影に関しては、防護エプロンを着用し腹部を遮蔽しているので胎児への被爆線量はほとんどゼロになるので心配ありません。

局所麻酔薬の通常量の使用では、母体、胎児ともに影響ありません。

薬物療法に関しては、妊娠中の投薬に関する安全性は確立されてないので、強いて使用する場合は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合のみ投与する。しかし、妊娠13週までは極力避けた方がよい。(主要器官が形成される時期で奇形等の異常が生じる可能性が高い。)

授乳婦の歯科治療では、ほとんどの歯科治療は問題ありません。

薬物療法に関しては、授乳婦の母乳中の薬物の乳児への影響が考えられます。

基本的には授乳中の方には投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合は授乳を中止させることが望ましい。(あらかじめ搾乳しておくか、粉ミルク。)

局所麻酔薬の通常量の使用では乳児への影響は問題ありません。

このように妊婦と授乳婦の歯科治療にはいろいろな制約がありますが、細心の注意を払って診療いたしますので安心して受診していただけたらと思います。

歯の定期健診はやっぱり重要?

太田新田歯科医師会

アルス歯科クリニック

院 長  堀越 康介

歯の定期健診はやっぱり重要?

普段何もなければ歯医者に行かず、症状が出たり、ひどくなってから歯医者に行く方も多いのではないでしょうか。【たいして痛くないのに治療で高いお金をかけたくない】・【削られて痛い思いはしたくない】など歯医者から足が遠のいてしまうことも多いと思います。

しかし歯の症状は初期の場合はあまり症状として出ません。重症化してから症状が出ることが多いのです。重症化すると治療で後々痛い思いをすることになったり、治療の回数も増え結果的に治療費が高額になってしまいます。

やはり痛い思いをしないためにも定期検診に行くことでむし歯・歯周病などの予防や早期発見が重要になってきます。

定期検診はどのくらいの頻度で行けばいいの?

定期検診の内容としては①むし歯・歯周病のチェック ②かぶせ物や詰め物に不具合がないかの点検 ③ブラッシング指導 ④歯垢・歯石を取る ⑤歯科相談 ⑥お口の中の粘膜の病気チェック等があります。

多くの歯科医師は約3カ月~半年に1回の定期検診を薦めています。3カ月~半年に1回の定期検診を受けながら自宅でセルフケアをすることも重要です。適切な頻度はその人の歯や歯茎の状態・セルフケアの状態によって変わります。

かかりつけの歯医者さんで相談してご自身に合った定期検診の頻度を見つけてください。定期検診の内容にもよりますが数千円あれば十分な定期検診が受けられると思います。

 

ちょっとした体調不良やケガであれば免疫力により時間の経過とともに自然治癒していきます。しかしむし歯や歯周病は一度なってしまうと自然治癒することはなく悪化の一途をたどってしまいます。

場合によっては歯を失ってしまいますので予防・早期発見がとても重要です。健康維持のためには定期検診は欠かせません。多くの患者様がお口のことで悩んでしまうことがないように定期検診に通っていただきたいと思っております。

第24回 歯と口の健康フェア~歯っぴぃライフで8020~

太田新田歯科医師会

太田アクア歯科クリニック

院長 生方 真人

第24回 歯と口の健康フェア~歯っぴぃライフで8020~

太田新田歯科医師会では、「むし歯予防デー6月4日」にちなみ6月3日(日)イオンモール太田2Fイオンホールにて、午前10時から午後5時まで、「歯と口の健康フェア~歯っぴいライフで8020~」と題し、市民の方々への歯科情報の提供、口腔ケアに対する意識の向上をして頂くことを目指したイベントを開催します。入場は無料です。

今回のフェアの内容は

  • ミニ市民公開講座

(歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士、栄養士、それぞれの専門分野における20分程度の講演)

  • 歯磨き指導 フッ素塗布
  • 位相差顕微鏡(自分の歯垢の中の細菌観察)
  • 型採り
  • 血管年齢測定、骨密度測定
  • 歯科相談
  • 血圧測定、栄養相談
  • バルーンアート

歯、歯肉、口の中の疾患は、全身の健康に大きく影響します。この健康フェアを機に、歯と口の状態に関心を持っていただき、日頃の口腔ケア、口腔管理に役立てて頂きたいと思います。小さなお子様からご年配の方々まで元気で楽しく健康ですごせるように、さまざまなイベント、健康情報を準備し企画をしております。ぜひご来場お待ちしております。

またこのフェアは、過日、市内小中学生を対象に応募いただいた歯科保健啓発図画ポスター標語コンクールの優秀作品の展示会を兼ねております。こちらの方もご覧になっていただきたいとおもいます。

「歯と口の健康フェア」は、今回で24回目の開催となります。去年は1300名以上の方々に来ていただきました。今回はぐんまちゃんが応援に駆けつけてくれることにもなっていますので、ゆるキャラファンの方々も含めて沢山の方々のご来場をおまちしております。またご来場の方々には素敵なプレゼントも用意しておりますので、ぜひお立ち寄りください。

CAD/CAM冠って何?

太田新田歯科医師会
とちはら歯科
院 長 鎌田 政善

CAD/CAM冠って何?

CAD/CAM冠(白いかぶせもの)は2014年4月から上下顎左右小臼歯(上下顎の4番目と5番目にある小さな奥歯)に保険適用され、さらに2017年12月から下顎左右第一大臼歯(下あごの小さな奥歯の隣にある6番目の大きな奥歯)に保険が適用されることになりました。ただし、7番目の大きな奥歯が4本あって、しっかりかみ合っている場合にのみ適応となります。なお、金属アレルギーの方(医師の診断書が必要)は、全ての奥歯に保険適応となっています。

【CAD/CAMとは?】

CAD(Computer-aided-design)は、削った歯の形をコンピューターで計測して、その形状データーを入力データーとして歯(かぶせもの)の形を図案化し、加工用のプログラムを作成します。次に加工用プログラムを加工機であるCAM(Computer-aided-manufacturing)でブロック材料を削って歯(かぶせもの)の形を作るといったコンピューター上でのシステムのことを言います。

簡単に言うと、コンピューターで計測し歯の形を図案化し、コンピューター制御された加工機で歯を作るといったシステムのことです。

【CAD/CAM冠の良いところ】

健康保険では従来から金属冠(銀歯)が一般的に用いられてきました。また、部分的に硬質レジンジャケット冠といって白いかぶせものも保険適応となっていました。

しかし、銀歯は強度はあるものの見た目が悪く、ジャケット冠は見た目は良いが強度・適合性でやや劣るといった状況でした。そこで先進医療から生まれたCAD/CAM冠は材料にハイブリッドレジンといってレジン(プラスチック)とセラミックスを合わせたブロックを用いることで、強度も向上し、コンピューターで製作することにより適合精度も向上しました。

また、コンピューターで設計、製作しますので、模型ができてから2時間程度で出来上がるといった時間が短縮されるところが良い点と言えます。全く金属を用いていませんので、金属アレルギーが心配な方にも安心してご使用いただけるかぶせものです。

【CAD/CAM冠を保険で装着できない症例】

前述しましたが、上顎左右第一大臼歯と上下顎左右第二大臼歯は保険適応外です。ただし、自費診療では装着することができます。また、小臼歯では歯冠の高さが低い場合や部分入れ歯のバネがかかる場合などは割れたり、はずれたりする可能性が高いので、装着できない場合があります。

咬む力が過度に加わる場合も破折の原因になりますので、装着できない場合があります。

したがって、下顎第一大臼歯も過度な咬合力がかからないことが条件となります。歯の状態により適応されない場合がありますので、詳しいことは歯科医院でご相談下さい。