あきらめないで、お口の健康 ~口腔機能低下症~

太田新田歯科医師会
岸歯科医院
院長 岸隆史

 

元気に暮らす事、健康に日々を過ごす事はどんな人にとっても、望みだと思います。しかし、年齢と共に「うまく噛めない」「飲み込むとむせる」「話しづらい」「口臭が気になる」といった問題に直面してくる人が多くなります。以前は「年齢のせい」と諦めていた方も多いと思います。

ここ最近「フレイル(虚弱)」という言葉を耳にされた方も多いと思います。お口に問題があって食事が上手く出来ない→栄養不足で機能が低下する→機能が低下するので食事が上手く出来ない…といった悪循環に繋がります。この時の「機能低下」を「口腔機能低下症」と言います。口腔機能低下症は歯科医院で適切な検査をすることで客観的に判断する事ができます。

  1. 口が乾く、口臭が気になる
  2. 噛みづらい、しゃべりづらい
  3. 飲み込む時にむせる、声がしゃがれてきた、咳払いが増えた

検査によって「機能低下」が確認された場合も「適切な訓練(トレーニング)」をする事によって、症状が改善する報告もあります。

「訓練(トレーニング)」といっても難しいものではありません。

「何かのついで」くらいの感じで、「日々の習慣化する事」で「口腔機能低下症」の重症化を防ぐ事ができます。

先ほど述べた症状の順に簡単な方法をいくつか説明します。

  1. の症状に対する訓練:唾液線マッサージ・舌回し
  2. の症状に対する訓練:あいうべ体操
  3. の症状に対する訓練:パタカラ体操

他にいろいろありますが、それぞれの生活リズムや環境によって、その方に適した訓練を続ける事(これが重要)で健康を維持して、楽しい毎日を過ごしていただければと思います。

春の大型連休期間の診療歯科医療機関

◇太田新田歯科医師会 休日歯科診療所

診療日:4月29日(土)、4月30日(日)、5月3日(水)~5日(金)、5月7日(日)
診療時間:午前10時から午後1時まで (電話受付:12時30分まで 最終来館受付:12時45分まで)
※急患のための待機ですので、それ以外の方はご遠慮ください。

部分入れ歯の話

太田新田歯科医師会

しまざきデンタルクリニック

院長 島﨑 政人

部分入れ歯の話

 

昨年3月に引き続き入れ歯の話をします。

前回は総入れ歯について、適合や噛み合わせ調整、製作時期について説明しました。

今回はパート2とし、部分入れ歯についてお話しします。

 

部分入れ歯は、歯が1本なくなった状態から1本しかない状態のものまでの入れ歯の事を言います。

歯や歯茎の代わりの部分と入れ歯を動かなく維持する部分があります。

部分入れ歯に維持する部分が必要な理由をお話しします。

部分入れ歯が総入れ歯と異なる点は、歯がある事です。総入れ歯は、粘膜に密着する事で動き難くしますが、部分入れ歯は、歯がある事で閉鎖し密着し難い環境にあります。したがって、入れ歯の動きを少なくするためにはなんらかの装置が必要になります。

歯と歯の間に人工の歯を置いただけだと横にずれてしまうので両隣の歯を包む装置が必要になります。また、歯の無いところが粘膜で覆われているので沈み込んでしまうので、両隣の歯の上に支えを置く必要があります。これがいわゆるバネです。

歯は、平行でもないし、曲面なので、入れ歯との間に隙間ができやすいです。隙間が多いと入れ歯は動きやすくなります。動きやすいと外れやすく、粘膜も擦れて痛みやすいです。そのため、歯の表面を少し平行に削ったりすることにより隙間を少なくする事で入れ歯の動きを少なくする処置をする事があります。

入れ歯が浮き上がらなくするために、曲面の凸部下にバネを引っ掛けます。弾力性のあるバネなら、より多く引っ掛けられます。引っ掛けると言っても、バネの先端0.25から0.5mmです。これにより、入れ歯が外れにくくなります。

健康な歯は、咬んだ時約0.02mm沈みます。粘膜は約0.5mm。この差が入れ歯を揺らしてしまいます。したがって、適切なバネと調整が必要になります。

歯の無い部分の前後に歯が残っていれば、支え易いですが、前方にしか無い、後方にしかない場合には様々な工夫が必要となります。

単純に考えると、歯が無い本数が増えれば、支えるバネの本数も必要ですし、入れ歯の面積も大きくなります。そうなると、舌にあたったり、敏感な粘膜部分に触れたり、違和感も増えます。

この様に歯科医は、様々な事を考慮して設計し製作しています。歯の無いところに歯の代わりとなるものを入れる。単純な事ですが、これが意外とむずかしいのです。

使える入れ歯は人工臓器となり、使えなければただのオブジェです。

歯医者と話し合いながら、使える入れ歯を作りましょう。

歯科衛生士ってどんな仕事??

太田新田歯科医師会
とりやま歯科医院
院長 周藤 泰之

 

歯科衛生士ってどんな仕事??

 

皆さんも一度は歯科医院で歯のクリーニングを行った事があると思います。その時、歯医者さんではなく女性のスタッフがクリーニングしてくれたと思います。その人が歯科衛生士です。本日は歯科医院で働く歯科衛生士とはどの様に資格を取り、どの様な仕事をしているかお話したいと思います。

まず、歯科衛生士は国家資格です。国家試験を受けるには3年制の専門学校を出ないとその受験資格を得られません。入学して1年生から2年生の前半までは学校で歯科衛生士になるための授業を受け、2年生の後半から3年生の前半まで臨床実習と言い病院や歯科医院等の現場で実習を行います。そして3年生の後半は国家試験対策の授業を受けて国家試験に挑みます。

歯科衛生士の仕事内容は、歯科予防処置・歯科保健指導・歯科診療補助を行います。歯科医師と共に口の中の健康を支えるプロとして医療従事するとても大切な仕事です。

歯科医院での仕事は、まず歯科予防処置として患者さんが虫歯や歯周病にならない様に歯垢や歯石を取り除いたり、歯を丈夫にするためのフッ素を塗ったりするなど口腔内のケアを行います。また、患者さん一人ひとりに合った正しい歯ブラシの選び方や歯の磨き方のアドバイスなども行います。そして、歯科医師が治療を行うとき歯科医師1人では良い治療は出来ません。フォーハンドデンティストリーと言う言葉があり術者と介助者の4つの手で治療を行う事で効率的かつ正確に診療を進めることができます。歯科衛生士の診療補助は欠かせない仕事です。

最近、総合病院の歯科や保健センター、高齢者施設などでも歯科衛生士の重要性が高まっています。病気や加齢によって口腔機能が低下した患者さんに口腔ケア・食事指導・健康管理を行う事により誤嚥性肺炎や低栄養の予防につながると言われています。

歯科衛生士は国家資格なので就職しやすい職業です。歯科衛生士の求人倍率は非常に高く、歯科医療現場では常に人手不足と言われています。毎年新規の歯科衛生士は7000名程度誕生していますが、最近の健康志向により予防歯科のニーズは高く予防処置が認められた歯科衛生士の数は足りていません。再就職においても資格を持っていれば出産や育児などの休職後でも復職しやすい環境です。

もし進路に悩む高校生や何か資格を取りたい方は歯科衛生士を考えてみてはいかがですか?群馬県には5校の歯科衛生士専門学校があり、そのうち2校が太田市にあります。国家資格は持っていて損することは無いと思います。患者さんから「ありがとう」と言われるやりがいのある仕事です。

スポーツマウスガード

太田新田歯科医師会
尾島デンタルクリニック
院長 林崎 雅樹

スポーツマウスガード

 

本日はスポーツマウスガードについてお話しします。

太田市の皆さまは群馬クレインサンダーズの選手たちが試合中に口から出ているのを見たことがある人なども多いのではないでしょうか?

マウスガードはその名前の通り、歯やアゴのケガを予防するためのもので、コンタクトスポーツ、つまり選手同士や用具などとの接触を伴う可能性のあるスポーツで特に多く発生します。バスケットボールは着用を推奨ですが、ラグビー、アメフト、ボクシングなどでは着用義務があります。
では、実際にマウスガードがどんな素材で出来ているかと言うと、弾力性が高く、軟らかな樹脂でできています。
ほとんどの方は上顎に着けて使い、歯と歯ぐき全体を覆うような形をしているので、歯をカバーして直接的な衝撃から歯の損傷を防ぐだけでなく、上下の歯のかみ合わせのクッションとして働き、アゴのケガや脳震盪を防いだり、軽減したりする効果があります。

さらには近年、筋力やボディバランスの向上など、競技能力の向上のためにマウスガードを活用することも研究され、実際に多く使われるようになってきています。

しかし、マウスガードならなんでも良いというわけではなく、ご自身のかみ合わせにしっかりフィットしたものを作ることで、その効果を発揮しますので、既成品よりも歯科医院で型取りをしてから作成するオーダーメイドのものをお使いください。

色やデザインなども自由に選べますが最近はシンプルなものが人気のようです。当院でも以前はカラフルな派手なデザインなどを希望する方が多かったですが、最近はシンプルな色だったり透明なデザインが好まれるようですね。

興味をお持ちの方はかかりつけの歯科医院や歯科医師会にお問い合わせください。