2009年の放送内容
4月 乳幼児期の歯の健康診査について
5月 知覚過敏について
6月 スポーツマウスガードについて
7月 指しゃぶりの癖について
8月 睡眠ブラキシズムとは
9月 小児の外傷について
10月 「リラックス」して安心・安全な治療を!
11月 親知らずについて
4月 乳幼児期の歯の健康診査について
5月 知覚過敏について
6月 スポーツマウスガードについて
7月 指しゃぶりの癖について
8月 睡眠ブラキシズムとは
9月 小児の外傷について
10月 「リラックス」して安心・安全な治療を!
11月 親知らずについて
今日は、乳幼児期の歯の健康診査についてお話したいと思います。
「母子保健法」という法律では、子供が1歳半と3歳になったときの計2回、健康診査 を受けることが決められています。
これは母性と乳幼児の健康の保持増進をはかることを目的としています。
子供がその年齢になると住んでいる市町村から健診の案内が届きます。
連絡が届いたら 保健所での歯を含めた健康診査に積極的に参加しましょう。
同じ年齢のお子さんをもつ 母親と会って育児の悩み事などお互いに情報交換できるいいチャンスです。
1歳6ヶ月児健診について この年齢では、乳歯も12~14本くらい生えてきているのが普通です。歯科健診の目的は、虫歯があるかないかの検査を行い、同時にこれから虫歯が起こるかどうかを判定して、 虫歯を起こしやすい子供の保護者には注意を促し、日常生活、特にその食生活について適切な指導を行うことにあります。
これによって、将来の虫歯の発生を未然に予防することができるからです。
もちろん、これ以外になにか気になることがある場合にはためらわずに歯科医師に相談してください。
3歳児健診 子供が3歳になると、このときまでに普通は20本すべての乳歯が生えそろっています。 この健康診査の趣旨は、「幼児期において、身体発育および精神発達の面から最も重要な時期である3歳児に対し、医師、歯科医師による総合的健康診査を実施し、児童の健全な育成のための指導および措置を行うものである」となっています。
この健診も市町村が実施主体になって行うものです。
内容は、歯ブラシ習慣などに関する一般事項の検査、虫歯、不正咬合、口腔軟組織の疾患、 その他の歯と口腔の疾病異常の検査となっています。
検査の結果をもとに、次の点について歯科保健指導を行うことになっています。
1) 歯と口をきれいに保つ習慣を確実に身につけさせる
2) 保護者が幼児の口の中の状態をたえず注意する習慣をつくる。
3) 栄養について具体的な注意を払うよう指導する
4) 間食を与える場合には、適切に与えるように指導する。
5) 定期的に歯科医師の検診および指導を受ける習慣をつけるよう指導する。
1歳6ヶ月健診と3歳児健診は子供のために市町村が用意してくれているプログラムですから、お子さんのためにぜひ参加して専門的なアドバイスを受けることをおすすめします。
【知覚過敏とは】
今日は知覚過敏についてお話します。
知覚過敏とは虫歯ではないのに歯が痛んだり、しみたりする状態のことを言います。
水を含んだ時などに歯がズキっと痛んだ事はないでしょうか。
それが知覚過敏です。真夏のように冷たいものを口にする機会の多い時期や、水道の水が冷たくなる冬に多くあらわれます。
冷たい飲み物でしみる場合が最も多いのですが、熱いものや、甘いもの、あるいは歯磨きの時にだけ痛む場合など様々です。
一般に知覚過敏は歯に刺激が加わった時にだけ痛みを感じるもので、何も刺激が加わらない時には痛みません。
そして痛みはごく短時間で、ほとんどは数秒、長くても1分以内に痛みは治まります。
【なぜ起こるか】
知覚過敏が起こりやすい歯には、主に2つのタイプがあります。
1つは歯肉が下がって歯の根が露出している場合で、これは主に歯周病が原因で起こります。
もう1つは歯肉との境い目付近や、咬み合う部分の歯の表面がすり減って薄くなっている場合で、これは歯ぎしりや食いしばりなどの咬みグセや、歯ブラシを当てる力が強すぎる場合などに起こります。
歯の表面はエナメル質と言う非常に硬い組織に覆われています。
このエナメル質には痛みなどの感覚はありませんので、歯の表面が完全にエナメル質で覆われていれば知覚過敏はほとんど起こりません。
しかし、歯がすり減ってエナメル質が薄くなったり、もともとエナメル質に覆われていない歯根が露出すると、刺激が歯の神経に伝わりやすくなり知覚過敏が起こるわけです。
【どうすれば良いか】
知覚過敏は症状が軽く、冷たいものを含んだ時など、ごくたまにしみる程度であればあまり心配いりません。
少し冷たいものを控えて様子をみてください。
歯の汚れが良く落ちていない時にも知覚過敏に似た症状が出ることがありますので、丁寧に歯磨きする事も大切です。また市販の知覚過敏用の歯磨き剤の使用も効果的です。
しかし、しみたり痛んだりするのが頻繁になってきたり、苦痛に感じるようになったら注意が必要です。
歯科医院で詳しく調べることをお勧めします。
知覚過敏の治療にあたっては、まず刺激が伝わりやすくなった原因を良く調べます。
歯磨きの仕方に問題があって歯を傷つけている時には、磨き方の改善を図ります。歯ぎしりなどが疑われる時はその対処をします。
そして初期の場合は歯の表面に、知覚過敏を抑制させる薬を塗る処置が行われます。
歯が大きくすり減っている場合は、虫歯治療と同じように、詰め物をしてすり減った部分を修復し、刺激を伝わりにくくします。
そういった処置で歯に加わる刺激が軽減されますと、ほとんどの場合、徐々に知覚過敏はおさまってきます。
しかし十分な改善が得られない場合もあります。
そんな時は最終的な手段として、歯の神経を取る処置を行います。
歯の神経を取ると知覚過敏は完全に無くなりますが、神経を取る事による弊害もあり、他の方法で改善が見込めない場合にのみ行われます。
以上が知覚過敏の治療の概要ですが、ご自分で知覚過敏かと思っていても、実は虫歯があったということも良くあります。
気になるときはどうぞお気軽に歯科医院にご相談下さい。
【マウスガードとは】
今日はスポーツマウスガードについてお話します。
ボクシングなどで、試合の合間に何かを口の中に出したりいれたりしているのを見ますが、あれがマウスガードです。
マウスピースという呼び方もありますが最近はマウスガードの名称が一般的です。
スポーツによる口やアゴのケガは意外に多く、コンタクトスポーツ、つまり選手同士や用具などとの接触を伴う可能性のあるスポーツで特に多く発生します。
マウスガードはその名前の通り、歯やアゴのケガを予防するための用具です。
主に格闘技で以前から使われてきましたが、近年それ以外のスポーツ競技においても、特に激しい衝突が多くケガの多い競技での外傷予防効果が認識されて急速に普及してきています。
そしていくつかの競技ではマウスガードの装着が義務づけられています。
ボクシング、空手、ラグビー、ラクロスなどです。
ただそれら義務化された競技以外でも、自発的にマウスガードを使う選手が増えてきています。
【どんな効果があるか】
マウスガードはとても弾力性が高く、軟らかな樹脂でできています。
通常上顎に着けて使い、歯と歯ぐき全体を覆うような形をしています。
マウスガードは、歯をカバーして直接的な衝撃から歯の損傷を防ぐとともに、上下のかみ合わせのクッションとして働き、アゴのケガや脳震盪を防いだり、軽減したりする効果があります。
脳震盪の予防はマウスガードの重要な効果で、アメリカンフットボールのようなヘルメットを付けて行うスポーツでもマウスガードは有効です。
さらには近年、筋力やボディバランスの向上など、競技能力の向上のためにマウスガードを活用することも研究され、実際に多く使われるようになってきています。
【どうすれば手に入るか】
マウスガードは大きくわけて2つのタイプがあります。
1つはストックタイプと呼ばれる市販の既製品で、もう1つはカスタムタイプで、その人の歯型に合わせて個別に制作するものです。
既製品はスポーツショップなどで購入できます。
気軽に使うことができるのが何よりの利点ですが、歯に充分フィットしないので装着感が悪く、ケガの予防効果も劣ります。
カスタムタイプは、歯型を取ってそれに合わせて制作するため、口にぴったりフィットして違和感が少なく、強い衝撃でも外れることもありません。
また呼吸や会話にもほとんど影響しません。
カスタムマウスガード製作のためには歯科医院を受診していただく必要があるため、その手間と、そして少し余分に費用がかかるのが欠点ですが、
それ以外ではあらゆる面で既製品より優れますので、できれば一人でも多くのプレイヤーにカスタムマウスガードを使ってもらいたいと思います。
なおマウスガードの製作には保険は使えません、自費診療になります。
そしてすべての歯科医院で対応しているわけではないので、興味をお持ちになった方は、まず電話などで各歯科医院や歯科医師会にお問い合わせください。
以前この時間に指しゃぶりについてお話した事がありましたが、今回は前回お話仕切れなかった部分をお話してみようと思います。
このような話題をお話する中でお母さん方が一番知りたい事というのはどうしたらよいか?と言う事だと思います。
第一に歯並びが悪くなる事と指しゃぶりや爪を咬むなどの癖とは直接関係が無い事が多く、その子供にとって精神の状態、体の状態を維持するために必要であったりと、人それぞれでありその対応もさまざまです。
ではどうしていったら良いのでしょうか?
ある男の子なのですが、指しゃぶりの癖が中々直らないと相談を受けた時のお話をしてみようと思います。
その男の子は6歳になっても指しゃぶりの癖が直らず、上の前歯は少し唇側に傾いていました。
この男の子の場合指しゃぶりと歯並びが悪くなるという事は別の原因で、今回の場合あまり相関関係は特にありませんでした。
歯並びが悪くなった理由の一つがまず舌の位置。舌がその男の子にとって一番良い状態の位置から上前方にずれていて、常に上の前歯に接触して
前に押していたと言う事。そしてもうひとつは上唇の筋肉が弱く、うまく機能していなかったと言う事です。
本来なら舌が前歯を押そうが唇の筋肉がバランスをとってくれて、歯は適正な位置に誘導されて来ますので、このバランスが悪くなってしまった結果歯が動いて来てしまったとも考えられます。
この男の子の舌の位置のズレや上唇の筋肉が弱くなってしまった原因は首の骨、頚椎のズレや仙骨の未発達などが考えられます。
この男の子は3人兄弟の2番目で上のお兄ちゃんも活発で、赤ちゃんの頃から捕まり立ちをし、早くから歩き回ってお兄ちゃんを泣かしていたそうです。
子供の骨の発達というのはきちんと順番があって、生まれてからすぐ仰向けに寝る・うつ伏せになる・ハイハイをすると、きちんと骨が出来上がる順番が決まっていますので、その準備が十分にとれていない間に立たせてしまったりすると、特に口は全身のセンサーの役割を持っていますから、歯並びが悪くなったりすると言う事で知らせてくれたりする訳です。
そしてやっと本題の指しゃぶりですが、この男の子の場合胃腸が弱く元気で活発なわりに食が細く、下痢などしやすいと言う事がありました。
その子はまだ自分で胃腸の調整がうまく出来なく、指しゃぶりする事により胃腸の調整をしていたんですね。
「赤ちゃんの時と同じ事をして」と言う事です。
こういう場合は大きくなるにつれて胃腸の動きを整える機能が出来て来ますのでほって置いても直ります。
この男の子は現在小学3年生になりましたが自然と指しゃぶりは直ってしまいました、特に指しゃぶりに関しては指導していません。
これまでお話してきた事はその子だからこそ当てはまるのであって、他の子ではそうとは限りません。
私達からお母さん達にお願いしたいのは出来るだけその子の情報を教えて欲しいという事です。
今回例出した男の子は身内の子なのであらかじめ色々の情報を知っていましたし、長期の経過も見ることが出来ました。
実際来院されて短い診療時間の中ではこれだけの事を調べる事は出来ないかもしれないですが、お母さんと一緒にその子を知る事で、私達歯科医師が一緒に出来る事が見つかると私は考えております。