歯をぶつけた時どうしますか?

春から秋にかけては、外で遊んだり、スポーツをしたり、活動することが多い時期ですが、それに伴い、怪我をする機会も多くなります。
特に小さいお子さんを持つお母さんは、目を離した隙に、大声で泣く我が子に驚くことがあります。

大人でも、子供でも、前に倒れた時、手がふさがっている状態だと顔をぶつけてしまい、前歯が欠けてしまうこともあります。
ボール、ゴルフクラブ、ラケット、我が子の頭や足など、その他、予想もしない力が顔めがけてぶつかってくることもあります。

傷から出血し、歯が欠けたり、抜けたりして大慌てしますが、そんな時どのようにしてから歯科医院や専門医にかかるのか、少しお話しておきます。

 まず、歯が欠けた時ですが、少し欠けた場合は、歯の中の神経などに直接影響が無ければ、比較的軽症です。
ただし、強くぶつけていると、歯が揺れたりするので受診が必要になります。

次に、大きく欠けた場合ですが、歯の中の神経が欠けたところから淡紅色に見えていることがあります。
後に強い痛みが出たりするので、欠けた部位をあまり汚さず、日数が経過しないうちに受診します。
そして、歯が抜け落ちたり、歯肉にめり込んだりする場合もあります。
めり込んだ歯は、歯科医院で引き出してもらってください。
自分で引っ張って落としてしまったら、治り方に影響するし、骨にヒビが入っていたりすると出血が多くなることもあります。

抜けてしまった場合は、もう一度、元の位置に戻して固定しておく方法(再植術)もあります。
ただし、抜けた歯の根が折れたりせず、清潔であり、受傷してから短時間であるほうが良いとされています。
口の中で抜けたら、そのまま口の中に入れて持っていくと良いですが、もし、落ちてしまったら、清潔な水や生理食塩水に入れて持っていくようにしてください。
学校などで歯が抜けた場合は保健室に歯を入れる保存液が用意されているので、先生に話すと良いでしょう。
くれぐれも、そのままポケットなどに入れて持っていかないようにしてください。
一言で「歯をぶつける」と言っても口の中やその周囲は複雑で、歯を支えている骨にもヒビが入る可能性があります。
また、受傷と同時に唇や舌を傷つけたりすれば、唾液によって大量に出血しているように感じます。
まずは、動揺している心を落ち着かせて、かかりつけの歯科医院などに連絡してください。

受診の際には、いつ、どこで、どのように怪我をしたか、来院までの経過を話す必要があります。
普段から使っている薬があればその薬の資料を持ち、怖がらずに歯科医院を受診してください。

ブラキシズムについて

ブラキシズムという言葉はあまり聞き慣れない言葉だと思いますが、これはお口やその周辺の器官にみられる習慣性に癖の一つで、代表的なものには歯ぎしりや食いしばりなどがあります。
この歯ぎしりや食いしばりがなぜ問題なのかというと、歯や周囲の骨などが受け止める咬む力は、個人差がありますが、強い人では100kgを超えるとても大きな力です。
ブラキシズムの場合、その大きな力が持続的に加わるため、食べる時の様に一瞬だけ強い力がかかる場合よりも、ずっと大きな影響が出るのです。
歯の変化としては、
● 歯がすり減る ● 歯がしみる(知覚過敏) ● 冠や詰め物がはずれる
● 歯が割れる などがあります。
また、他の様々な器官への影響として、 ● 顎関節症(あごの障害)
● 口の周りの筋肉の痛み ● あごのずれ ● 顔面の変形
● 頭痛、肩こり などが起こる事があります。
しかし、ブラキシズムは無意識で行われますので、日中起きている間でも無意識に食いしばっていたり、夜寝ている間に歯ぎしりしていたりと、自分では気づきにくいものなのです。
またブラキシズムがなぜ起きるのか、そのメカニズムについてはまだ十分には解明されていないのですが、
咬み合せの異常や日常生活でのストレスが原因と考えられています。
ブラキシズムへの対応としては、
● 日中、唇や頬・あごなどの周りの力を抜き、咬み合せている事に気づいたらすぐ離す
● 就寝時に、極力悩み事や考え事をせず、リラックスしたイメージで休む
● 頬づえをつく癖があると、噛み締めやすくなるので、注意する
● 治療が必要な歯はきちんと治しておく
● 歯科医院で、歯ぎしりから歯やあごの骨を守るため
ナイトガードと呼ばれるマウスピースの様なものを作り使用する
などがあります。気になる症状がある方は、歯医者さんに相談してください。

歯の冷凍保存

皆さんも臓器移植について新聞やテレビなどで聞いたことがあると思います。
歯科でもけがをしたり、通常残せないといわれる歯に対して歯をいったん抜いて外で治療して戻したり、歯がないところに必要性のない歯を移植したりする治療法が あります。
最近では凍結保存して戻すことも可能となっています。
この治療で重要となってくるのが歯の保存法です。
歯は乾燥した状態にすると戻しても骨に溶かされてなくなってしまいます。
歯が溶かされないようにするのに重要なのが歯根膜(歯の周りのクッション)です。 このクッションが歯を守るのです。
歯の移植再植は最も新しく最も古い治療法といわれ、紀元前にはすでに行われていたと いう記録があります。
しかしながら予後は良くなかったといわれています。
しかしながら医学の進歩とともに臓器保存液を用いて歯を長期間保存可能になり冷蔵で4日間ほど抜いたまま保存可能という研究がされています。
凍結保存の場合は何十年も可能です。
ただ凍結保存には多額の費用がかかり一般には使用されにくい状態となっています。
けがで歯が抜けたときの保存液は15年以上前にアメリカで販売され日本でも 最近になって国産の保存液が使用できるようになりました。
また凍結保存法は北欧で進んでおり、デンマークでは10年以上前から歯牙バンク (凍結保存)をおこなっております。
日本でもやっと広島大学で最近行えるようになりました。
将来、歯の治療も痛くなったらその日は抜いて、次の日に治療を終えた歯を戻して おしまいとなったり人工的に作られた歯に入れ替えるようになる日が近いと思います。
そう すればあのいやな音や長時間口をあけることもなくなりますね。

乳幼児期の歯の健康診査について

今日は、乳幼児期の歯の健康診査についてお話したいと思います。

「母子保健法」という法律では、子供が1歳半と3歳になったときの計2回、健康診査 を受けることが決められています。
これは母性と乳幼児の健康の保持増進をはかることを目的としています。
子供がその年齢になると住んでいる市町村から健診の案内が届きます。
連絡が届いたら 保健所での歯を含めた健康診査に積極的に参加しましょう。
同じ年齢のお子さんをもつ 母親と会って育児の悩み事などお互いに情報交換できるいいチャンスです。

1歳6ヶ月児健診について この年齢では、乳歯も12~14本くらい生えてきているのが普通です。歯科健診の目的は、虫歯があるかないかの検査を行い、同時にこれから虫歯が起こるかどうかを判定して、 虫歯を起こしやすい子供の保護者には注意を促し、日常生活、特にその食生活について適切な指導を行うことにあります。
これによって、将来の虫歯の発生を未然に予防することができるからです。
もちろん、これ以外になにか気になることがある場合にはためらわずに歯科医師に相談してください。

3歳児健診 子供が3歳になると、このときまでに普通は20本すべての乳歯が生えそろっています。 この健康診査の趣旨は、「幼児期において、身体発育および精神発達の面から最も重要な時期である3歳児に対し、医師、歯科医師による総合的健康診査を実施し、児童の健全な育成のための指導および措置を行うものである」となっています。
この健診も市町村が実施主体になって行うものです。
内容は、歯ブラシ習慣などに関する一般事項の検査、虫歯、不正咬合、口腔軟組織の疾患、 その他の歯と口腔の疾病異常の検査となっています。
検査の結果をもとに、次の点について歯科保健指導を行うことになっています。
1) 歯と口をきれいに保つ習慣を確実に身につけさせる
2) 保護者が幼児の口の中の状態をたえず注意する習慣をつくる。
3) 栄養について具体的な注意を払うよう指導する
4) 間食を与える場合には、適切に与えるように指導する。
5) 定期的に歯科医師の検診および指導を受ける習慣をつけるよう指導する。

1歳6ヶ月健診と3歳児健診は子供のために市町村が用意してくれているプログラムですから、お子さんのためにぜひ参加して専門的なアドバイスを受けることをおすすめします。