知覚過敏について

太田新田歯科医師会

 

おおた阿部歯科クリニック

阿部 義則

 

今日は、最近CMなどでよく耳にする知覚過敏についてお話したいと思います。

知覚過敏とは、ムシ歯でもないのに冷たい物や、温かい物を飲食したり、歯磨きをしているときや、歯に風が当たったりしたときに一時的に歯がしみる状態のことです。

では、なぜ知覚過敏が起こるのかというと、原因としては、過度なブラッシングや、粗い研磨剤の入った歯磨剤や固い歯ブラシの使用や、歯ぎしりやかみ合わせの悪さなどが挙げられます。

これらのことが長期的に行われていると、歯の表面のエナメル質が徐々に削られて象牙質という部分が露出することで歯がしみるのです。

さらに詳しく言うと、象牙質は象牙細管という細管構造をしており、その細管に刺激が加わるとしみる症状が出るのです。

治療法としては、自分で予防するのであれば、正しいブラッシング法を習得し、自分に合った歯ブラシや歯磨剤を使用することです。

最近では知覚過敏用の歯磨剤も多く発売されています。

歯科医院での治療となるとまずは薬剤の塗布です。しみるところに何度かこすって塗布します。

それであまり改善がなければ樹脂やセメントなどのコーティング材で物理的にカバーする方法もあります。歯ぎしりやかみ合わせが悪い場合はマウスピースの使用やかみ合わせの調整を行います。

歯が少ししみるぐらいではなかなか歯科医院行かないと思いますが、そのまま放置してしまうと最悪の場合は歯の神経を取らなければいけなくなる場合もあるので日頃のケアと歯科医による定期的な検査が重要なのです。

口腔ケアとインフルエンザ

太田新田歯科医師会

                 永倉歯科医院  永倉学 

インフルエンザのシーズンを迎えるにあたり、今日はインフルエンザの感染と口腔ケアについてお話ししたいと思います。

インフルエンザの予防としてはまず1・手洗いうがい、そして2・ワクチン接種、3・マスクの着用などがあげられます。マスクはむしろ相手にうつさないためのエチケットでもあります。

今回はこれらに加え口腔ケアを予防の一つとしてお話ししようと思います。

なぜお口の中を清潔に保つことがインフルエンザの予防につながるかといいますと、口の中にはさまざまな細菌がいます。その細菌が出す酵素によって感染をしやすくなるのです。

すこし細かく説明しますとそのお口の中の細菌がだす酵素のプロテアーゼやノイラミニダーゼというものがのどの粘膜を保護している層を破壊してそこにウイルスを付着し易くしてしまいます。

さらにそれだけでなくノイラミニダーゼはインフルエンザウイルスが増えるのを手助けすると言われています。

インフルエンザにかかると使うタミフルやリレンザといった薬はこの酵素の働きを断ち切ることによってウイルスを増やさないことによるインフルエンザの薬でもあります。

したがってこれらの酵素を出す細菌をいかに減らし口のなかを清潔に保つかということがインフルエンザ予防につながるかということになります。

またそのことに関する具体的な発症率のデータも報告されています。

ある高齢者施設において歯科衛生士さんが口腔ケアを実施したグループと、していないグループで、実施したグループでは98名中インフルエンザにかかってしまった方は1名、実施していないグループでは92名中9名がかかってしまったという報告があります。

少数例ではありますがその比は1対9となり、そのような報告からも口腔ケアがインフルエンザの予防に効果があるかということになるかと思います。

ということでインフルエンザ予防にはまずは手洗い、うがい、そしてワクチン接種にそれに加えてあと一つ口腔ケアを追加していただきたいと思います。

口腔ケアによってむし歯、歯周病の予防はもとより、肺炎、特に高齢者の方の誤嚥性肺炎もかなりの割合で予防できます。

ぜひもう一度ご自分の口の中を清潔にすることに向き合っていただければと思います。

子供の歯科医院へのかかり方について

今日は子供さんの歯科医院へのかかり方と私たち、歯科医が子供さんの治療に対して気をつけていることについてお話ししたいと思います。
子供さんが、初めて歯科医院にかかる事は、年齢によっても違うと思いますが、連れて行く保護者の方、そして子供さんにとっても、緊張する場所かもしれません。

しかし、初めから歯科医院は怖いところというイメージを子供さんに植え付けないように、不安がらせないように気をつけて下さい。
保護者の方が痛い、怖いと思ってしまうと、お子さんも同じように感じてしまうので注意して下さい。

例えば、小さなお子さんの場合は、少しでも怖がらないようにお気に入りのおもちゃなどを持っていくといいでしょう。
まず、診療室では、歯科医は保護者の方からお子さんの様子、症状を聞くところから始まりますが、なるべく詳しくお話して下さい。
年齢にもよりますが、お子さんの訴えでは、痛い歯が上下左右を聞くたびに違う事が良くあります。

レンドゲンなど検査をする事が出来ない場合もあります。
ですから、歯科医は保護者の方からのお話とお子さんの症状を診て、診査診断をし、治療方針を決めます。
小児歯科の治療は、成人歯科と違い、歯科医と患者さんの1対1の関係ではなく、そこに保護者が入ります。
ですから、三者の信頼関係を得るためにも、気になる事は遠慮なく聞き、お話して下さい。処置や治療は、歯科医の説明や考えを保護者の方に納得してもらったうえで始めます。

また、お子さんの年齢によって、私たち歯科医の接し方も変わってきます。
1~2歳くらいのお子さんに対しては、歯科医の話かけがまだ理解できませ
んが、声の調子や表情などから何らかの意味を感じ取るので、やさしい言葉使いで話しかけながら治療するよう心掛けます。
また、大きな音を怖がるので気をつけます。
3~4歳くらいのお子さんに対しては、こちらの話かけの内容が理解できるようになる反面、感情が発達してくるので、知らない人や見慣れない場所、予防注射などの経験から歯医者さんを怖い人と思い、治療に対し不安や恐怖を示します。
ですから、少しでも怖がらずに治療できるように、やさしい言葉使いで歯科治療がどうして必要なのかを説明し、納得させて治療するようにします。
5~6歳のお子さんに対しては、こちらの説明や説得を十分に理解できます。そして、どうして虫歯治しをすることが大切か理解できるようになり、治療に対して我慢できるようになります。

このように、年齢にあわせて子供さんに接し、治療するよう私たち歯科医も努力しています。
また、一般的にどの年齢の子供さんに対しても、いくつかの注意する点があります。コミュニケーションをはかる、治療は能率的に行い治療時間をなるべく短くする、待合室で長い時間待たせない、必要な時間以外はなるべく器具を見せない、痛みはなるべく与えない、子供さんにうそはつかない、治療内容をわかりやすく説明するなどです。

ほとんどの場合、歯科医院へ行くのは、お口の中に何らかの異常や病気を見つけてからでしょう。
でも、腫れたり痛くなったりと症状が出てから診療をうけるよりも、虫歯にしないようにするフッ素塗布の予防処置もありますから、健康を確認するためにも歯がはえてきたら、一度受診して下さい。

ふじい歯科小児歯科

虫歯になりにくい子

太田新田歯科医師会

MK歯科クリニック 増田康展

 

生後間もない赤ちゃんには虫歯菌はいません。

虫歯菌は人(特にご両親)からうつります。最も虫歯菌がうつりやすい期間は生後19~31か月の間(1歳半から3歳)と言われ、うつるのが遅いほど虫歯になりにくくなります。

お子様とのお箸の共有や、砂糖の摂取を控え、ご両親ご自身の歯のケアもしっかりとする事が虫歯からお子様を守る近道と言えるでしょう。

ただし、あまりとらわれ過ぎずにスキンシップは大切にして下さい。

砂糖の摂取量が気になる場合は、虫歯の発生を防ぐ天然甘味料のキシリトールを使用した食材(おやつ等)を食べることをお勧めします。

砂糖は虫歯菌が分解・発酵させ酸を作りだし、歯の表面が溶かされて虫歯となります。一方キシリトールは酸が発生しない上、唾液中のカルシウムが歯の表面と結び付き再石灰化を活発にします。

キシリトールは口の中に長く留まらせないと効果がないため、キシリトールガムやタブレットを上手に使って虫歯予防をしましょう。

そして、定期的にかかりつけ歯科医院を受診してお口の健康に気をつけましょう。