学校歯科検診後の治療について

4月になり新学期が始まると、間もなくして学校で歯科健康診断が行われると思います。

歯科健康診断では虫歯や歯肉炎、歯並びの状態、歯磨きの状態の診査を行い、治療が必要なお子さんには学校から歯科の受診を勧める通知が渡されると思いますが、なかには、冬休みや翌年の春休みまで通知とともに疾患をあたためているかたもいらっしゃるのですが、

できるだけ早期に歯科医院を受診されることをお勧めします。

「子供の歯は、将来生えかわるから、特に痛みなどなければ、そのまま放っておいても良い。」と仰る大人の方がいまだにいらっしゃいますが、子供の歯の重要性は大人の歯に勝るものがあり、子供の成長発育や後に生えてくる永久歯や歯並びのために乳歯をきちんと治療しておくことはとても大切なことです。

虫歯に関して言えば、小児の虫歯は大人の虫歯に比べて早く進行しやすく、重症になりやすい傾向があります。

乳歯や生えてきたばかりの幼若な永久歯は、長い時間口腔内でさらされ成熟した永久歯に比べて虫歯になりやすく、虫歯による崩壊が早く進みやすいのです。せっかく、学校健診で早期に麻酔の必要のない小さい状態の虫歯で見つかっても放置しているうちに短期間で大きく深い虫歯なってしまいます。

そのうえ、乳歯では歯の厚みが永久歯の半分ほどしかないため、虫歯が歯の神経に簡単に達しやすく、このように重症になると麻酔なしで治療することが不可能なうえ治療も長期間になり、そのまま放置すると、乳歯の先にある生えてくる前の永久歯にも感染してしまいます。

歯科医院では治療だけではなく、歯ブラシ指導や食習慣などの口腔衛生に関する指導も受けることもできます。

小児のうちから、定期健診と早期治療を心掛け、良い口腔ケア習慣を身に付けることが大切です。

野村歯科クリニック  野村 貴正
0276-57-4182

歯周病(ぺリオ)にご注意を!

関根歯科医院    屋代 哲

歯周病(ぺリオ)にご注意を!

歯科で扱う病気は虫歯と歯周病がほとんどです。

以前は虫歯が多かったのですが、最近は小さい頃から良く治療し、また予防も発達したため虫歯が少なくなりました。また、高齢者が多くなったことで歯周病の割合が増えています。

歯周病の原因はお口の中いる歯周病菌による感染症です。

お口の中には900種以上の細菌がいます。

乳酸菌のように消化を助けてくれる良い菌もいれば、虫歯や歯周病を起こす悪い菌、その他何もしない菌の3種類に分かれます。

そのうち、30種類位が悪さをする菌といわれています。

ですから歯周病の原因である菌を調べ、除菌を行えばお口の中の状態が良好になり、歯磨きを行うことで良い状態が保てます。菌の検査方法は色々有りますのでかかりつけの歯医者さんにお尋ねください。

歯周病は症状がなかなか出てこないのですが中高年の8割に有るといわれ、45歳を過ぎると身体の免疫力が低下してきますので多くの方が発症してきます。歯を取り巻いている歯肉が腫れたり出血がみられるというような症状から始まります。虫歯の場合は痛みが出ますが、歯周病は進行するまで痛みがあまりありません。したがって自覚されにくい病気であるといえます。ただし、進行してくると顎の骨が溶けてしまい、歯がぐらぐらになって抜かざるを得ないということになります。

太田市では40歳以上の市民の方に無料で歯周病検診を太田新田歯科医師会館で行っています。「広報おおた」に案内が出ていますので是非受けてみてください。

○歯周病が招く恐ろしい病気として

歯周病が怖いのは歯周病菌が血液を介して体全体に流れ、病気の原因になる危険があることです。心筋梗塞や脳梗塞の梗塞部に歯周病菌があるそうです。それから糖尿病の方が歯周病になるとさらに糖尿病が悪化する恐れがあります。

○歯周病の予防・治療として

大切なのは、毎日の歯ブラシによる歯磨きと歯間ブラシやデンタルフロスを使った歯と歯の間のお掃除です。正しい歯の磨き方は、歯石除去と併せて定期的にかかりつけの歯科医院で指導を受けましょう。できるところは御自分で、とどかないところは歯科医院でお掃除しましょう。また、喫煙は歯周病、糖尿病の両方を悪化させますので禁煙を心掛けましょう。

人もロバも、良く噛めば元気百倍!!

皆さんの好物がリンゴやせんべいだとしたら、当然、歯が丈夫でないと駄目ですよね。

これからお話しするのは、歯が弱って好物の人参を食べることができなくなってしまった

ロバに世界で初めて入歯を入れたお話しです。

日華事変の起きた1940年ごろ、中国の戦場で働く一匹のロバがいました。このロバの名前は一文字号。日本軍の物資輸送で活躍した一文字号は、老後は穏やかに過ごしてほしいと上野動物園に寄贈されました。上野動物園では、子供たちを乗せた馬車を引いて人気を集めていましたが、1962年のある日ポップコーンを喉に詰まらせて死にそうになりました。喉に詰まった原因、それは歯が悪かったことでした。

もちろん大好きな人参も食べられないので、すっかり元気がなくなってしまいました。ロバの年齢は27歳、人間でいえば80歳強になります。歯が悪くなってもおかしくない歳ですね。その様子を見て心を痛めた周りの人たちは、どうにか元気を取り戻して欲しいと知恵を絞り、入れ歯を作ってあげたらどうか?という結論に達しました。

そこで、動物のために入れ歯を作るという前代未聞の作業を、無理を承知で歯医者さんに頼みこんだそうです。幸いにも引き受けてくれた歯医者さんによって作られた特注の入れ歯は、一文字号に贈られました。一文字号は入れ歯を口にはめられるやいなや、与えられた人参をバクリ!!

ここで不思議なのは、口にはめられた異物が入れ歯と知るはずもないのに、「これで噛める!」という認識を一文字号がすぐにしたことです。咀嚼の感触を本能的に取り戻したのでしょう。この後、一文字号は入れ歯のお陰で健康を取り戻し、子供たちにもかわいがられながら過ごしたそうです。

人間にとっても動物にとっても、食べ物をよく噛むことが健康の基本であり、好きなものを食べることができると言うのは本当に幸せなことです。いろいろな調査の結果では、歯の本数と実際に食べている食品の種類の多さには関係が深く、歯が多く残っている人はいろいろな種類の物を食べていることが分かっています。

歯のない人は食べられるものだけを食べていて、食べ物の種類も少なく栄養のバランスも取れていないことが多いようです。フランスパン、堅焼きせんべい、たくあんや繊維質の多い野菜等、噛めば噛むほど味わい深くなる食品は、18〜28本の歯がないと美味しく噛むことが難しいと言われています。

20本以上の歯があれば食べるものの硬さ、大きさを制限することなく豊かな人生を歩めますね。いつまでも健康で大好きな物を自分の歯で食べられるよう、毎日のお口と歯のケアを心がけましょう。

 

 

参考資料・・・(財)東京動物園協会発行「どうぶつと動物園」1964年2月号