栄養と口の健康

太田新田歯科医師会

小森谷歯科医院

小森谷 和之

体の機能を整え、正常な日常生活を営むためには、規則正しい食生活が大切なことはほとんどの人が知っている事実です。今回は口腔疾患の予防の一環として栄養のことについて考えてみようと思います。

栄養素は、大きく①糖質②たんぱく質③脂質④ビタミン⑤無機質に分けられ、これを五大栄養素と呼びます。

歯の組成と栄養素

歯はコラーゲンというたんぱく質から出来た繊維の網に無機質であるカルシウム、リン、ミネラルが硬く結合して作られます。つまり歯が作られるとき、すなわちお母さんのおなかにいるときから、永久歯が完全萌出する中学生くらいまでは、良質のたんぱく質(魚介や肉、大豆など)と、無機質(主にカルシウム・リンは歯や骨の形成(石灰化)の材料になります。また、無機質のうちマグネシウムやフッ素も歯の形成に必要です。)の摂取が必須となります。また、ビタミンのうち、ビタミンAとC(主に野菜により摂取)は歯の形成時に大きなかかわりを持っています。ビタミンDもカルシウムの吸収に重要です。

むし歯と栄養素

むし歯と関係の深い糖質(穀類等、炭水化物)ですが、糖質そのものは、そのほとんどがエネルギー源となるため非常に大切な栄養素なのです。糖質、特にショ糖は、これを摂取し口腔内にとどまることで、口腔内の菌により分解され酸を産生し、これが歯の表面をおかします。したがって、砂糖(ショ糖)を含む食品を多く摂取すると、むし歯につながることが多いのです。

歯周疾患と栄養

歯周疾患に対する栄養的な考えは、局所因子として歯周組織に及ぼす食品の影響、全身的因子として歯周組織に及ぼす影響といった二つの立場から考えられます。

糖質は、局所的な因子として、むし歯と同様に歯周疾患に深く関与しています。すなわち、細菌に対して、栄養分を与えるとともに、歯面に歯垢として細菌と付着します。

タンパク質の欠乏により、歯周組織は局所刺激による炎症と変性を受けやすくなります。、タンパク質の適度な摂取が、歯周組織の抵抗と回復に強い影響を持っているといえる。

ビタミン類の欠乏は、直接的な因子としては働かず、歯周疾患を進行させる二次的な効果を示します。

第17回市民公開講座 開催報告

太田市・太田新田歯科医師会

17回市民公開講座 開催報告

日時:平成28年11月12日(土)午後2:00~午後4:00

場所:太田市学習文化センター(太田市飯塚町1549-2)

主催:太田市・一般社団法人 太田新田歯科医師会

~いつまでも楽しく食べるために~

前日までの雨も止み、秋とは思えない程の暖かく素晴らしい晴天に恵まれ、 第17回市民公開講座が太田市学習文化センターにて開催されました。今年から太田市との共催となり、今後はより細やかなテーマに対応出来ると思っております。

今回は「摂食・嚥下障害とリハビリテーション」を題材に致しました。高齢者の健康寿命延伸こそが医療・介護のテーマであります。そこで国内の第一人者である馬場尊先生、足利赤十字病院リハビリテーション科の尾﨑研一郎先生をお招きし、その病態からリハビリテーションの実際までわかりやすく解説していただきました。

第17回市民公開講座1

第17回市民公開講座2

第17回市民公開講座3

第17回市民公開講座4

第17回市民公開講座5

先ずは、馬場尊先生の御講演から始めて頂きました。

~その1:咬んで飲むしくみを正しく知ろう~

食事をする事とは栄養をとる事+αであり、αとは、社会的行為(冠婚葬祭、会合、家族団らんなど)、充欲的行為・娯楽的行為(美味しいものを沢山食べて満足する)、運動性(運動機能を維持する)であります。いつまでも楽しく食べるためには、この+αが必要となります。

食べるという行為は、咬んで、飲む事であり、咬んでから飲んだり、咬みながら飲んだりしますが、ヒトの咽喉は設計ミスであり、ヒトは誤嚥する動物であるという事です。

(液体)嚥下のメカニズムは、咽喉は、安静時は気道、嚥下時は食物道となります。嚥下が始まると気道は素早く食物道に切り替わり、この間に食物は食道に送り込まれます。嚥下が終わると、咽喉に食物はなく食物道は気道に戻ります。この間約0.5秒です。咀嚼時、嚥下が起こる前には気道に食物があり、気道が食物道に切り替わっておりません。咀嚼によって嚥下が可能になった食物(食塊)を能動的に舌の後方(咽頭)へ送ります。私たちは飲む事(液体嚥下)と食べる事(咀嚼嚥下)の2つの嚥下様式を使い分けています。

○歳をとるとどうなるか?

加齢の影響その1 食欲が低下し食べにくくなる。エネルギー消費が減少、味覚・臭覚の低下、残存歯が減少し、筋肉が効率よく動かなくなり口腔の運動機能が低下する。

加齢の影響その2 咽頭の位置が2~3cm位置が下がり咽頭腔が大きくなる。嚥下運動の時間がかかる。口と咽喉の協調性が悪くなる等。

○どのように誤嚥を防ぐか?

誤嚥とは、食物や唾液などが声門を超えて気道に侵入する事であり、ごく少量の誤嚥(唾液)は健常人でも起こる。

誤嚥は、咽喉が気道の時に食物がある(嚥下開始の前や嚥下終了の後)時や、気道に隙間がある(嚥下の最中)に起こりやすい。最も誤嚥しやすいものは、液体と固形物の混合物(鍋物やスイカ)

である。健常者の10~20%、気道の防御機能が弱っている人は不顕性誤嚥(silent aspiration)という誤嚥してもむせない事がある。そして、誤嚥をすることにより肺炎のリスクが増える(誤嚥性肺炎)。

○誤嚥しないためには?

・顎を上げて食べない:顎を軽く引く事が良い。

・すすらない:熱いものを控える、スプーンを口腔内に入れる、口に物を入れる時に吸わない・呼吸しない。

・一口ずつ飲む:ゴクゴク飲まない。

・硬いものは控えるか、小さく切る。

・固形物と汁物を一緒に取り込まない(鍋物等)

・咬みながらしゃべらない、しゃべらさない。

・食物を小さくする(咬む回数を減らす)。

・キザミあんかけ食(咀嚼し終わった形態、丸呑みできる食物<カレー等>)にする。

◎高齢者は誤嚥する。

・咽喉の機能は低下するという事を自覚する。

・若い頃と同じように食べない。

・口腔内のメインテナンス(食後、寝る前の歯磨き・定期的な歯科検診)が必要。

◎呼吸機能を維持する。

・大声を出す、大声で笑う(カラオケ、スポーツ)

・ハフィング(お腹から息を吐き出す)

・のどの筋力トレーニング

(シャキア訓練<寝ながら肩甲骨を床から離さないように首だけを上げる>)

◎EAT10(イートテン・嚥下スクリーニングツール<ホームページ参照>)

以上の事を参考に、是非日々の生活をより良い食生活にして頂きたいとの事でした。

 

続いて、尾﨑研一郎先生の御講演を始めて頂きました。

~その2:口腔ケアと咀嚼「唾液で潤った口で咀嚼しましょう」~

現代人は食事の際、昔の人に比べ咀嚼回数が少ない事がわかります。

ある調査によると、弥生時代は一食の咀嚼回数3,990回・食事時間51分、鎌倉時代は2,654回・29分、20世紀初頭は1,420回・22分、現代は620回・11分という結果が得られました。調理の発達により食べ物が柔らかくなり、顎の筋肉や骨の成長・発育に影響を及ぼしています。特に発達期の子供は、食事の際のある程度の負荷が筋肉や骨にかかることにより発達していくが、柔らかい食事により発達しなくなり顎が小さくなっています。

では、硬い物を咬むことがよいことなのでしょうか?

高齢者に関して言えば、むしろ良くないことと言えます。高齢者の体(歯も)は衰えているからです。硬い物を咬むことにより歯がすり減ったり、折れたり、入れ歯が割れたり、顎の骨にも悪影響が起こります。そうならない為には、自分が無理せずに食べられるものを食べることが重要です。

上手に咬むためには、唾液も必要となります。

唾液の役割は、発音しやすくし、食べ物の味を際立たせ、口腔内の洗浄や抗菌作用、食べ物の消化を助ける作用などがあります。年を取ると唾液の量も減少します。唾液が少なくなると口腔乾燥症になり、口の中のいろいろなトラブルが発症します。

唾液が少なくなった(出にくくなった)方は、唾液腺のマッサージをして唾液が出やすくなるように改善する必要があります。

○唾液腺のマッサージ

・耳下腺への刺激(10回)

人差し指から小指までの4本の指を頬にあて、上の奥歯のあたりを後ろから前へ向かって回す。

・顎下腺への刺激(各5回ずつ)

親指を顎の内側のやわらかい部分にあて、耳の下から顎の下まで5カ所位を順番に押す。

・舌下腺への刺激(10回)

両手も親指をそろえ、顎の真下から手をつきあげるようにゆっくりグーっと押す。

口の中で食べ物を上手によく咬むことにより、唾液も多く出てきます。一口30回咬むと良いと言われています。しかし、咬み過ぎると飲み込みづらくなってしまう事がありますので、飲み込みやすい状態になった時に飲み込みましょう。

飲み込むときには、呼吸を整える必要があります。食事をする前にはリラックスして、姿勢を正しましょう。

いつまでも楽しく食べるためには、身体や口の周りのストレッチをすることが大切です。

○ゆったりとした姿勢で行います。

・手をお腹に置き、鼻から息を大きく吸い込み口をすぼめて大きくゆっくり吐く。

○深呼吸しながら首の運動

・首を左右に傾けたり、左右に動かしたり、大きく回したりする。

続いて、口のストレッチを行います。

○個人個人にあったペースでリズミカルに行いましょう。

・口を横に引く。唇を突き出す。頬を膨らます。息を吸い込む。アーっと声を出す。

 

このような比較的簡単なストッレチですので覚えて実践して下さい。そしてお口の中の環境を整え楽しくお食事をして頂くためにも、定期的な歯科検診が必要です。という事を付け加えて楽しい講演が終演となりました。

 

文責 太田新田歯科医師会 市民公開講座運営委員会

委員長 増田康展

平成28年度学術講演会 開催報告

去る12月8日(木)太田新田歯科医師会館の第一会議室にて平成28年度学術講演会を行いました。

平成28年度学術講演会開催報告

講師は都心で7医院を展開している梅田和徳先生で、「明日から使える臨床の知恵~歯科材料からインプラントまで~」という演題で4時から6時まで即、臨床に直結する内容の濃い講演会となりました。

抜歯、インプラント、GBR、歯周外科、CAD/CAM、最新の歯科材料についてまで非常に興味深い、多岐にわたる奥深いお話を伺うことができました。

むし歯予防剤「レノビーゴ」商品の自主回収のお知らせ

【回収対象商品】

商品名 レノビーゴ 対象製造番号 R715~R823、P830~P981(箱背面またはボトル側面に記載)出荷時期:平成22年12月6日~平成27年11月16日

レノビーゴを製造販売しているゾンネボード製薬株式会社より、上記製造番号の商品について、香料の含有量が承認書の記載量を超えているものが出荷されていたことが判明したため、自主回収するとのお知らせがありました。

商品に使用されている香料は、食品にも使われている添加物であり、安全性への影響は小さく、重篤な健康被害が発生するおそれはないということでありますが、万全を期すため自主回収するということであります。

お手元に対象商品がある方は、下記まで料金着払いで商品を送付してください。到着確認後、製品代金相当分のQUOカードが送られてきます。

【問い合わせ先】

ゾンネボード製薬株式会社 品質保証部 フリーダイヤル0120-071-648 受付時間:平日9時~12時 13時~16時50分

【商品送付先】

郵便番号・住所・氏名・電話番号を必ず書き添え

〒193-0832
東京都八王子市散田町5-7-14
ゾンネボード製薬株式会社 営業部「レノビーゴ」係 TEL:042-661-1171

 

○「レノビーゴ」自主回収のお詫びとお知らせ ゾンネボード製薬株式会社

http://www.zonnebodo.co.jp/news/000113html

○国のレノビーゴの自主回収情報

http://www.info.pmda.go.jp/kaisyuu/rcidx15-2m.html