3. 口腔機能向上の効果

1) 清掃面の効果
口腔清掃を中心としたケアは、口腔細菌叢の正常化に寄与することが多くの研究で明らかになっています。
さらに、感染経路対策として嚥下機能や咳嗽反射の低下に対する対策が重要ですが、
最近、口腔清掃を継続して行うことで口腔への刺激が加わり、
嚥下反射や咳嗽反射の賦活化が見られることが報告されました。
つまり、口腔清掃を中心とした口腔ケアは誤嚥性肺炎に対する感染源対策ばかりでなく、
感染経路対策にも重要であるといえます。
2) 機能面の効果
要介護高齢者に対する口腔機能向上訓練は、より機能の低下を示している者に対しても効果的で、
比較的低下の程度が低い者に対してはその機能を維持する効果が認められています。

4. 栄養改善の効果

要介護高齢者は低栄養を示す者の割合が高いことが知られています。
口腔機能の低下は低栄養の一因となります。
私達は、口腔機能の向上は低栄養対策の重要な方法と考え、いくつかの試みを行っています。
そして、口腔機能向上の試みは栄養改善に対し一定の効果を示すことを確認しました。
施設に入居する高齢者に対する栄養ケアアセスメントの重要性が論じられ、
栄養ケアマネジメントや経口摂取への移行に対する評価の可能性が検討されています。
これらは、口腔機能、摂食機能との関連無くしては遂行できないと考えています。

以上のように、豊かな老後への条件は、高齢になっても口腔の機能を維持し続けることであると考えています。
本講演では、口腔機能の維持のための口腔ケアの重要性をお話します。