唾液と齲蝕の関係

太田新田歯科医師会
おおた阿部歯科クリニック
院長 阿部 義則

唾液と齲蝕の関係

 

唾液には生体にとってとても多くの大切な機能があります。

その中でも、齲蝕の発生に大きく関わっております。まず、齲蝕の発生は、歯面に付着した歯垢(プラーク)中にいる細菌が酸を作り、その酸の作用で歯質が脱灰され生じます。しかし唾液には、歯面に付着した歯垢や食べかすを洗い流す自浄作用や、細菌の増殖を抑える抗菌作用、酸性に傾いた口の中のpHを中和させる緩衝作用、溶けかけた歯の表面を修復する再石灰化作用などの作用があり、齲蝕の発生を防止するのに役立っています。

しかしながら、加齢的な変化や特殊な疾患及び、薬の長期服用に伴う副作用などで唾液の分泌量が減少すると、これらの唾液の作用も減少し、齲蝕の発生率も高くなります。

唾液の分泌量を調整することは困難なので、徹底したプラークコントロールが大事であり、口渇による分泌量の減少には、常に水やお茶などで口腔内を潤わせたり、飴など(シュガーレス)で唾液が出やすいようにすることが大事だと思います。