痛いときに行く歯科医院から定期的に行く歯科医院へ

太田新田歯科医師会

小森谷歯科医院 小森谷和之

 

歯科の二大疾患といえばむし歯と歯周病です。現在ではこの二つは予防することができるようになってきました。

何度も通っていただいた治療が終わると、患者さんの笑顔は明るく華やいで喜びにあふれています。私たちにとっても、そこに至るまでの努力が報われる嬉しいひと時です。

患者さんはみなさん、「これからはこの状態が長持ちするようにずっと大切にして

いきます。」「セルフケアを丁寧に続けていこうと思います。」と言い、歯みがき指導を熱心に受け、歯みがき法をマスターしてくださいます。

そんな方たちにセルフケアのほかにもう一つ、私がお願いしていることがあります。それは、「メインテナンスを受けに今後も定期的に来院してください」ということです。

自分だけでお口の健康を守ろうとするのではなく、歯が痛くなくても定期的に歯科医院に受診し、お口の健康チエックや、クリーニングを受けて頂きたいです。

治療が終わったからと言って、私たち歯科医師や、歯科衛生士との付き合いまで終わらせないでください。今後も一緒にきれいな歯と、お口の健康をも持っていきましょう。

治療の終わりは再発予防の始まりです。

市民公開講座

第15回市民公開講座開催のお知らせ

20141115

 

市民公開講座

超高齢化社会を迎えた日本。高齢者の割合が増えるということは有病者の割合も増えるということで、例えば70歳以上の約7割が高血圧といわれています。そこで厚労省は”健康寿命”という考え方を提唱し始めました。

ただ長生きするのではなく、寝たきりにならずQOLの高い暮らしを送って欲しいということです。今回の市民公開講座では高齢者がかかりやすい病気の一つ”骨粗鬆症”を取り上げます。”骨粗鬆症”になると骨折しやすくなり、QOLを著しく低下させます。では”骨粗鬆症”とは一体どんな疾患なのか。

医師の立場から鹿山整形外科・鹿山富生先生に解説していただきます。次に”骨粗鬆症”に対して有効な薬”ビスフォスフォネート製剤”について薬剤師の立場から中央薬局・長谷川史朗先生に薬の特徴、使用上の中などについてお話いただきます。

そして最後に群馬県立がんセンター口腔外科部長・山根正之先生に薬の服用と口腔ケアについて解説していただきます。近年、ビスフォスフォネート製剤服用者の抜歯術後に顎骨壊死が生じた例が報告されています。

疾患や薬に対する正しい知識を持っていただくと同時に日頃の口腔ケアの必要性、重要性をご理解いただければ幸いです。

第14回市民公開講座

第14回 市民公開講座 開催報告

日時 平成25年11月16日(土) 午後2:00~午後4:00

場所 太田市宝泉行政センター(太田市西野谷町38-2)

主催 一般社団法人 太田新田歯科医師会

あなたの骨は元気ですか?

~骨粗鬆症と歯科治療の関係を考える~

 

 平成25年11月16日(土)午後2時より、太田市宝泉行政センターにおいて、「あなたの骨は元気ですか?~骨粗鬆症と歯科治療の関係を考える~」と題して、第14回市民公開講座が開催されました。

 すっきりと晴れ渡った穏やかな陽気の中、大勢の市民の皆様にご参加いただき、大盛況の講演会となりました。

 今回は、骨粗鬆症と歯科治療のさまざまな関係を、それぞれの視点から三名の先生方にご講演していただきました。

 鹿山整形外科医院 副院長 鹿山富生(かやま とみお)先生

 太田中央薬局     長谷川史朗(はせがわ しろう)先生

 群馬県立がんセンター   山根正之(やまね まさし)先生

 まず最初に整形外科の鹿山富生先生より、骨粗鬆症とは骨密度の低下によって骨折の危険性が高くなる骨格の病気という定義の説明から講演が始まりました。

骨粗鬆症による骨折が生じやすい部位として上腕骨近位部、椎骨、橈骨近位部、大腿骨近位部が挙げられ、特に大腿骨・背骨の骨折の場合、寝たきりとなり、床ずれ、肺炎、認知症等の合併症から要介護、要支援、死亡に至る可能性が生じる。骨折しなくても椎体圧迫骨折による脊柱の変形(姿勢の変形)により、体の痛みや日常生活の質の低下が起こる。

骨粗鬆症の原因は、閉経(女性ホルモンの低下)や加齢(筋肉量の低下、日光照射量の低下、腎臓機能の低下、カルシウム摂取不足、カルシトニン分泌低下)である。

骨粗鬆症になる病気は、糖尿病・リウマチ・肝臓病・腎臓病・甲状腺の病気や胃切除後、薬は、ステロイド、ワーファリン、生活習慣としては、アルコールやカフェイン多飲などがあげられる。

治療法は骨密度を上げることであり、カルシウムの摂取が必要である。しかし、カルシウムは吸収が悪く牛乳40%、小魚30%、野菜類20%程度。したがって、カルシウムの吸収を助けるビタミンD、マグネシウム、ビタミンKが必要となる。また、カルシウムの吸収を妨げるものとしてはリン(P)、食塩がある。リン(P)とはインスタント食品や練り物などの防腐剤、酸化防止剤に多く含まれる。

 ひと昔前は、骨折のしやすさ=骨密度の低下でしたが、現在は骨折のしやすさ=骨密度の低下(7割)+骨質(3割)となっている。

 骨質を良くするものとしてビタミンB6・B12・C、葉酸が必要、また、日光に当たることで皮膚でのビタミンDが合成されるので、家に引きこもらないように注意!!

骨折しにくい住環境のポイントは、ぬ・か・つ・け に注意。

ぬ・ぬれているところは滑りやすい(風呂場など)

か・かいだん、段差があるところは、転びやすい。

つけ・片つけてない部屋では、つまずきやすい。

ぬ・か・つ・け に注意して骨粗鬆症を克服して健康で明るい毎日を送りましょう。

つづいて、太田中央薬局の長谷川史朗先生のご講演では、骨粗鬆症に使われる薬についてお話しされました。

骨粗鬆症治療薬として、カルシウム製剤(アスパラCA)、活性型ビタミンD3製剤(アルファロール・ワンアルファ・ロカルトール)、ビタミンK製剤(グラケー)、ビスホスホネート製剤(ボナロン・フォサマック・ベネット・アクトネル・リカルボン・ボノテオ)、エストロゲン製剤(ジュリナ)、SERM(エビスタ・ビビアント)等が使用される。

カルシウムとビタミンDについて、骨の主成分はカルシウムであり、ビタミンDはカルシウムが体に入るのを助ける作用がある。ただし、カルシウム量が多すぎると腎障害が起こるので同時に使用するときは注意が必要。カルシウム・ビタミンDが不足すると骨はもろくなる。ビタミンDは紫外線を浴びると皮膚で作られるので、全く日光に当たらない生活だと、ビタミンDが足りず骨が弱くなる可能性がある。

ビタミンKは、骨にカルシウムをくっつける役割があり、納豆や緑色の強い野菜などに多く含まれる。しかし、ビタミンKはワーファリンの効果を邪魔してしまう。

エストロゲン製剤とSERM(サーム)について、女性ホルモン(エストロゲン)の役割は、骨を丈夫に保つ、髪の毛を豊かにする、免疫を高める、乳腺を発達させる、悪玉コレステロールを減らす、肌のつやや柔軟性を保つ等の作用がある。薬としてのエストロゲンの問題点は、乳がんの危険性を高める。SERMとは、骨や脂質代謝についてはエストロゲンと同じように働き、骨を強くして悪玉コレステロールを減らす。乳腺や子宮についてはエストロゲンとは逆に働き、乳がんなどの危険性を高めない。

ビスフォスホネート製剤の用法・用量に関連する使用上の注意(飲み方)

1.      水以外の飲料(Ca、Mg等の含量の特に高いミネラルウォーターを含む)や食物あるいは他の薬剤と同時に服用すると、本剤の吸収を妨げることがあるので、起床後、最初の飲食前に服用し、かつ服用後少なくとも30分は水以外の飲食は避ける。

2.      食道炎や食道潰瘍が報告されているので、立位あるいは坐位で、十分量(約180ml)の水とともに服用し、服用後30分は横たわらない。

3.      就寝時又は起床前に服用しない。

4.      口腔咽頭刺激の可能性があるので噛まずに、なめずに服用する。

5.      食道疾患の症状(嚥下困難又は嚥下痛、胸骨後部の痛み、高度の持続する胸焼け等)があらわれた場合には主治医に連絡する。

服用にあたって注意が必要な人

1.      食道、胃、腸に問題がある人。

2.      血液中のカルシウムの量に異常がある人。

3.      服用時に体を30分以上立てていられない人。

4.      妊婦又はその可能性がある人。

5.      腎臓や肝臓に問題がある人。

6.      歯科治療を受ける予定、又は治療中の人。

アクトネルの場合、重大な副作用として、食道穿孔、食道狭窄、食道潰瘍、胃潰瘍、食道炎、十二指腸潰瘍等の上部消化管障害、肝機能障害、黄疸、顎骨壊死、顎骨骨髄炎、大腿骨転子下及び近位大腿骨骨幹部の非定型骨折が報告されている。また、顎骨壊死や顎骨骨髄炎の発症のリスク因子として、悪性腫瘍、化学療法、コルチコステロイド治療、放射線療法、口腔の不衛生、歯科処置の既往等が知られている。使用上の注意として、本剤の投与開始前は口腔内の管理状態を確認し、必要に応じて患者に対し、適切な歯科治療を受け、侵襲的な歯科処置をできる限り済ませておくよう指導すること。本剤投与中に侵襲的な歯科処置が必要となった場合には本剤の休薬等を考慮する。また、口腔内を清潔に保つこと、定期的な歯科検査を受けること、歯科受診時に本剤の使用を歯科医師に告知して侵襲的な歯科処置はできる限り避けることなどを患者に十分説明し、異常が認められた場合には、直ちに歯科・口腔外科を受診するよう指導すると示されている。

副作用防止や早期発見のために

1.      服用時の水をしっかりと摂り、その後横にならない。

2.      胃痛、胸やけ、食欲不振などがあれば医師に相談する。

3.      歯をきれいに保ち定期的に歯科に受診する。

4.      歯やあごの痛みがある場合は、医師にも相談する。

5.      お薬手帳を使う。

お薬手帳は健康維持のカギとなっているので、受診の際は必ず提示するようにしましょう。

最後に、群馬県立がんセンター 歯科口腔外科 部長の山根正之先生には、特に骨粗鬆症治療薬のビスフォスフォネート製剤についてご講演して頂きました。

骨粗鬆症による大腿骨近位部骨折は2007年1年間に約16万人発生し、2030年には26万~30万人の発生が見込まれています。骨折後の患者さんの薬45%が自立困難、要介護となります。また、骨折後の死亡率は1年で10%強、2年で25%といわれています。そのために的確な骨折リスク評価と、確実で効率の良い骨折予防を行うことが大切です。

現在、骨粗鬆症の治療薬の中でビスフォスフォネート製剤は骨折予防のための最も有効な薬剤であり、その使用が推奨されています(自己判断で中止しないでください!)。これらの薬剤は骨粗鬆症の特効薬で重要な薬ですが、一方であごの骨壊死をおこすことが報告されています。あごの骨壊死の症状として、歯肉の痛み・腫れ・歯のぐらつき・抜歯後の治りが悪い・あごのしびれ・骨の露出・骨が腐る、などがあります。発生頻度は0.01~0.02%といわれており低い発生率ですが、歯槽膿漏(歯周炎)がひどい人や、歯の根の先に炎症がある人が抜歯などの外科処置を受けると骨壊死の可能性が高くなります。口の中には極めて多くの細菌が存在するため(糞便中の細菌に匹敵!)、あごの骨に限局した壊死が発生すると考えられています。

あごの骨壊死の予防で最も大切なことは、普段から口の中を清潔に保つことです。日々の歯ブラシ・うがいによる清掃、かかりつけ歯科医院での定期的な歯石除去・虫歯治療などが大切です。あごの骨壊死は一旦発生すると難治性で、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。口の中に痛み・腫れなどの症状がなくても、かかりつけ歯科医院で定期的に健診を受けるようにしましょう。

 講演後には質疑応答があり、参加者からの質問がありました。

・運動と食事について

 どんな運動が良いのか?

 痛みがあってもするのか?

という質問には、講演中にもお話しされていましたダイナミックフラミンゴ法という両手を広げて片足で立つ運動(片足ずつ1分間を一日3回<大腿骨の付け根に自分の体重の6倍がかかる>)を説明され、痛みがある方は治ってから無理せずに行うようにということでした。

食事については、なんでも好き嫌いせずに、楽しく、美味しく食べることが重要とおはなしされました。

・ビスフォスフォネート製剤服用患者の顎骨再建の治療法について

 どんな治療法があるのか?

という質問には、保存的治療法として、壊死部の切除(がん治療に準ずる)後にチタンプレートを埋入するという手術の説明がありました。

他にもいくつか質問がありましたが、盛況のうちに講演会が終了いたしました。

医師、薬剤師、歯科医師が、地域医療の連携を充実させ、市民の皆様の健やかな生活を願い、また、今後も市民公開講座を開催したいと思っております。ご参加して頂き有難うございました。

市民公開講座運営委員 増田康展

 

「歯の数が減っている?

きむら歯科医院
木村博昭

最近、診療をしていて思うのですが、日本人の歯の数が少なくなって来ているのではないか?
特に若い人の歯数が少なくなって来ていると感じます。

ところで、歯の本数ってご存知ですか?
現在、永久歯は親知らずを入れると32本、入れないと28本。これが標準的な歯数とされています。歯数が少なくなってきている理由は、いろいろあると思いますが歯としての働きが少なくなってきているのも大きな理由と思います。それは、昔と比べると軟らかい食べ物が多くなったことです。よく噛まないでも食べられる物や「飲む朝食」みたいな食品もあり、全般的によく噛む必要が減ったため、それに伴い歯数も減ってきているのではと思います。一般的に前歯の数が少ない場合が多いのですが、20歳ぐらいの方で上下の第二大臼歯が4本ない方もいました。小学生のお子様の場合、子供と親を不安にさせない様に「現在、噛む働きが少なくなってきているので、歯の数が少ないお子さん多いですよ。もしかしたら○○ちゃんは未来の人間に近いのかもしれません。」と説明しています。歯数が少なくなるということは、人間の進化なのか、退化なのか、よくわかりませんが、50年先・100年先の日本人の「歯」心配ですね。

歯に限らず人間の体は、適度に使わないとその働きが落ちてきます。先日、歯科の往診を担当している病院から連絡があり「入れ歯が入らなくなったので来てください。」という話があり「てっきり、どこか入れ歯があたって痛くて入れておけない。」と思い、往診に行くと「口が大きく開けられないので入れ歯自体が入らない。」という状態でした。看護師さんに状況を聞くと「この2週間具合が悪く点滴だけで生活していた。」とのことでした。ご年配の方でしたので、2週間、口を使わなかったので口の周りの筋肉や機能が衰えてしまい、以前のように口が大きく開けられなくなっていました。

歯や口だけでなく、人間の体は適度に使わないとその機能は衰えるばかりです。

昔から言われていることですが、健康で長生きするには、

「腹八分目でしっかり噛んで食事をし、おっくうがらずに体を動かし、そして十分な睡眠時間で早寝早起。」

大切ですね。

入れ歯(義歯)の取り扱い方!

今回は義歯(入れ歯)の取り扱いについてお話しさせて頂きます。

一般的に、部分入れ歯や総入れ歯などと言われている入れ歯のことを部分床義歯や全部床義歯(有床義歯)と言います。

義歯は、特に新たに作成した場合、

  • 違和感があるときは時々はずして再度装着し、少しずつ慣れてください。
  • 最初は食べやすい食物を選び小さくして食べて下さい。
  • なるべく両側で同じように噛むようにして下さい。
  • 痛みがあるときははずしておいてください。
  • 無理な力をかけずに着脱してください。
  • 途中まで入れて噛み込んで入れないでください。

保存及び清掃方法として、

  • 義歯ブラシ(歯ブラシ等)使って清掃してください。
  • 必要に応じて入れ歯洗浄剤を使用して下さい。
  • 研磨剤は使用しないでください。
  • クラスプ(部分床義歯のバネ)の部分は特によく洗ってください。
  • 原則的に就寝前にはずして下さい。
  • はずした後は乾燥させないでください。

義歯を使用していて何か問題があった時は、早めに歯科医院を受診して診てもらいましょう。

ガムを噛もう

「ガムを噛もう」

                            きむら歯科医院

                               木村博昭

 

日本人は、人前で「ガム」を噛んでいるとだらしないとかマナーが悪いとかとかくガムは、あまり良い印象を持たれないと思います。

しかし、医学的には「ガムを噛む」という行為は、心身に良い影響を与えてくれます。

ガムを噛むことにより自律神経のバランスが良くなることが実験で証明されています。

ガムを噛むと副交感神経の働きが高まり心身をリラックスする作用が働きます。自分の能力を最大限に発揮するのには、適度の緊張と適度のリラックスが必要です。スポーツ選手が本番で緊張しすぎて(交感神経だけが上がった状態)体が動かない。スピーチで緊張しすぎて上手く話せない。こういう状態にならないためには、いかにリラックスした状態をつくるかにかかっています。

また、ガムを噛むという行為は脳の機能が活性化するので、受験生は勉強の前や休憩に「ガムを噛む」。社会人は、仕事の息抜きに「ガムを噛む」ことは医学的に意味のある行為です。

その時に大切なことは、「ガムがしっかり噛める口であること」だと思います。例えば、入れ歯だとガムがくっついて噛みずらいし、歯周病で歯がぐらぐらでも噛みずらいと思います。

また、どうせ噛むなら歯にいい「キシリトール」入りのガムがお薦めです。

気分転換やリラックスしたいときに、「コーヒー」や「たばこで一服」という人も多いと思いますが、心身の健康を考えた場合「ガムを噛む」ということが理にかなっているのかもしれません。