2011年4月

今日は6才臼歯と呼ばれる大人の歯についてお話したいと思います。

よく6才臼歯という言葉を耳にすると思いますが、これは乳歯の奥歯のさらに奥にはえてくる永久歯で、6才頃にはえてくるので6才臼歯と呼ばれています。

この歯は一番大きくて、咬む力も最も大きい歯です。ですから、永久歯の中でもとても大切な歯なのです。

しかし、その反面、永久歯の中で一番初めに虫歯になってしまい、最も虫歯になりやすい歯でもあります。

なぜ、6才臼歯が虫歯になりやすいかというと、奥にはえるため、はえはじめに気がつきにくく、はえきるために1年から1年半くらいもかかります。その間、歯の形も、咬む面の溝が深く複雑で、歯磨きしにくい形をしているからです。

ですから6才臼歯を磨くときは、小さめの歯ブラシを斜めから入れて、6才臼歯の咬み合せの面だけを選んで磨きます。

歯ブラシの毛先を歯にきちんとあてて、小さく前後に動かします。

少し長めに丁寧に磨いてみましょう。

6才臼歯がきちんと最後まではえ終わるのが、個人差もありますが、7~8才と言われて

いますので、その頃まで保護者の方が仕上げ磨きをしてあげて下さい。

永久歯は乳歯より固く、虫歯になりにくいと言われていますが、特にはえはじめてから2~3年はまだ歯自体が未熟で弱く、虫歯になりやすい状態ですので、気をつけて下さい。

もし、虫歯になってしまったなら、早めに治療を開始して下さい。

出たばかりの永久歯が虫歯になると、進み方が早く、痛みを感じる頃には見た目には小さくても、中は深く大きく広がっていることが多いからです。

また、6才臼歯を痛がるときは虫歯だけではありません。歯が出てきている途中で、歯の上に部分的にかぶさった歯ぐきを噛んで傷つけてしまうと、それだけでも痛いうえに細菌が侵入すると炎症が広がってズキズキ痛みを訴えることもあります。

その他にも腐骨と呼ばれる白い小さな固まりが6才臼歯の咬み合せの所にかぶさっている歯ぐきの所につくことがあります。自然にポロッととれることもありますが、ゴロゴロして咬むときに痛みがある場合があります。

歯の出方には個人差があって必ずしも6才に、6才臼歯がはえ始めるとは限りませんが、まれに上下の前歯が4本ずつはえ代わってもまだ6才臼歯がはえてこないことがあります。

このような場合には、はえることを邪魔する何かがあると考えた方がよいでしょう。

変だなと思ったときは早めに歯医者さんを受診して下さい。

永久歯の中でも特に大切な6才臼歯です。

少しでも虫歯にしないように、虫歯予防のフッ素のお薬を歯のはえ方に合わせて塗ったり、シーラントと言って歯の溝に汚れが残るのを防ぐシールをしたり、十分気をつけて下さい。

そのためにも、定期的に歯科医院で検診、チェックをおすすめします。

キシリトールでムシ歯予防

どなたでもキシリトールという言葉を一度は見たり、聞いたりしたことがあると思います。ですが、キシリトールが何であるのか?また、どのような効果があるのか?それを分かっている人は少ないのではないでしょうか。そこで、今回はキシリトールについてお話しさせていただきたいと思います。

キシリトールとは多くの果実(プラム、イチゴ、ラズベリーなど)や野菜(カリフラワー、ナス、レタス、ホウレン草など)の中に天然で含まれる自然の甘味料です。食品添加物として使用される前は輸液(点滴剤)として直接、体内に入れていました。なので、人体にとって安全な食べ物なのです。

次に、キシリトールの効果ですが、大きく分けて2つあります。1つは「ムシ歯の原因にならない」ということ。ムシ歯の原因である酸をまったく作りません。さらに酸の中和を促進する働きも持っています。もう1つは、「ムシ歯の発生、進行を防ぐ」という効果です。ムシ歯の原因となるプラーク(歯垢)をつきにくくして、歯の再石灰化を促進します。しかしながら、キシリトールだけ摂取していればムシ歯を予防できるわけではありません。歯をムシ歯から守るためには、正しく歯を磨き、フッ素入りの歯磨き粉を使用することが大切です。

最後に、ムシ歯予防に効果的なキシリトールの選び方ですが、現在では色々な製品にキシリトールが含まれていますが、甘味料としてキシリトールが50%以上含まれることが望ましいといわれています。製品としてはガムか錠菓(アメ、タブレット)に限ります。なぜならキシリトールがお口の中で長く留まるものがこれ以外にないからです。それと製品のパッケージや成分表示をよく見て「シュガーレス」表示や糖類0グラムであることを確認してください。

以上のことをふまえて上手にキシリトールを摂取してムシ歯予防に役立てましょう。

歯科と芸能人

歯科や医科の世界で病気の紹介や、予防法などを周知・啓蒙するにあたりTVをはじめとするマスコミの力は絶大で偉い先生が何回も講演するよりもコマーシャルや、番組で話題にするほうが一般の人への啓蒙活動は大きく確実です。
そこで歯科医学の世界に貢献した芸能人は誰でしょうか?
という話をさせていただきます。  

ちょっと考えただけで、たくさんの歯科関係のコマーシャルや番組がありますが、特定の芸能人で話題になったといえばまず、近年では誰もが記憶にある。
高岡早紀さんと東幹久さんが「芸能人は歯が命」とあまり意味の分からない言葉を謳っていたのを思い出します。
しかしこれは、「芸能人は歯が白いな」程度の認識しか得られず、歯磨き剤の宣伝にはなったかもしれませんが、あまり歯科医学界に貢献したとはいえません。  

貢献度から言えば、加山雄三さんの「リンゴをかじると歯ぐきから血が出ませんか?」は衝撃的で、その時初めて歯槽膿漏(今では歯周病といいますが )
その症状というものが一般の人に簡単に伝わり、啓蒙効果も高かったと思います。   

人気番組「8時だよ!全員集合」のエンディングで「ハービバノンノン いい湯だな」の歌の後に加藤茶さんがさりげなく毎週言った言葉「歯磨いて寝ろよ」は本当にさりげなかったが、当時の少年少女に確たる教育をしたのではないかと思われます。
そういった意味では、加藤茶さんは寝る前に歯磨きをしなかった日本人に「寝る前歯磨き」を教えた最強の伝道師といえます。

骨粗鬆症と歯の治療(ビスフォスフォネート製剤について)

歯科治療の際に、普段飲んでいるお薬が問題になる場合がありますが、骨粗鬆症の薬の一部にも注意が必要なものがあります。

ビスフォスフォネート製剤という薬で、比較的新しい薬ですが骨粗鬆症の治療に大変有効なため、現在国内でも100万人以上の人が服用されているようです。

良く効く薬である反面、その副作用で抜歯などある種の歯科治療の後に顎の骨の一部が死んでしまう病気(顎骨壊死)の発症が報告され近年大きな問題となっています。

このビスフォスフォネートに関連した顎骨壊死は、その発生頻度は比較的低いのですが、ひとたび発生すると非常に治りにくく、また有効な治療法はまだ確立されていないのが現状です。

ビスフォスフォネートはその有効性から年々服用患者数は増加しています。
それは一方で副作用としての顎骨壊死の発症も明らかな増加傾向にあり、今後さらなる注意が必要になってくるものと思われます。

骨粗鬆症は体の骨がもろくなる病気ですが、ビスフォスフォネートは骨の働きを変化させることで骨が弱くなるのを防ぎます。

一方、歯は歯ぐきの直下で骨と結合しており(歯槽骨)、歯と骨とは非常に密接に関連しています。
そのため歯の治療によって大きな変化が骨に加わった時(抜歯など)に、通常なら速やかに自然治癒する傷が、ビスフォスフォネートの影響で治癒が阻害され
時に重篤な顎骨破壊がおこると考えられています。

ただすべての歯科治療で問題が生じるわけでは無く、抜歯やインプラントなど一部の治療においてのみ注意が必要で、虫歯治療や入れ歯の治療など日常的な歯科治療には特に支障はありません。

また骨粗鬆症ではビスフォスフォネート以外にも様々な薬が使われますし、薬を飲んでいるからと言って、歯科治療の際にすべてが問題となる訳ではありません。
あくまでビスフォスフォネートに限ったものです。

比較的最近ビスフォスフォネート剤の服用を始めた方は、事前に説明を受けて薬の副作用をご存知の方も多いと思いますが、ご自分の骨粗鬆症の薬がビスフォスフォネートかどうかよくわからない方は、担当の医師や歯科医師、または薬剤師にお問い合わせ下さい。
そしてもしそのお薬を飲まれている場合は歯科治療の際に必ず申し出ていただきますようお願いします。

考えていますか?お口の健康と歯周病対策を

現在の日本人の平均寿命は、
男性が79歳を超え、女性は86歳を超えて延びていますが、
歯の寿命もそのくらい延びていますでしょうか?  

歯の寿命を延ばす対策として厚生労働省と日本歯科医師会
が提唱しているのが「8020( ハチマルニイマル)運動」です。
80歳になっても20本の歯を保ちましょうという呼びかけ です。

80歳で20本以上御自分の歯が残っているお年寄りの方の調査結果によると、
生き生き充実した質の高い生活を送られているお年寄りの方が、
数多くいることが報告されています。
(2005年 80才約10本残存、20本以上約2割)咬む刺激が脳に伝わり、
ボケの予防になります。  

歯がなくなるのを防ぎ、8020を達成するためには、
生活習慣病でもある虫歯と歯周病を、
食習慣や生活習慣を積極的に改善するように心がけることで予防し、
生涯を通じた歯と口の健康づくりをすることが大切です。

○歯がなくなる原因は?  
昔は虫歯で歯を失う人が多かったのですが、最近は小さい頃から良く治療し、
また予防も発達したため虫歯が少なくなったのと、
高齢者が多くなったことで歯周病の割合がが増えています。
その結果、歯周病によって歯を失うことが多くなってきているようです。  

歯周病というのは、歯を取り巻いているし肉や歯槽骨に炎症が起きて、
最初は、歯肉が腫れたり出血がみられるというような症状があります。
虫歯の場合は痛みが出ますが、歯周病は進行するまで痛みがほとんどありません。
したがって自覚されにくい病気であるといえます。
ただし、進行してくると骨まで侵されることになりますから、
歯がぐらぐらになって抜かざるを得ないということになります。

○歯周病が招く恐ろしい病気として  
歯と歯肉の間にあるすき間を「歯周ポケット」と言いますが、
歯周病が怖いのはその中にいる細菌が血液を介して体全体に流れ、
病気の原因になる危険があることです。
それが心臓に行き渡ると「心内膜炎」という病気になって、
心疾患の原因になるといわれています。
それから糖尿病の人が歯周病になるとさらに糖尿病が悪化する恐れがあります。

○歯周病の予防・治療として  
大切なのは、毎日の歯磨きと歯間ブラシやデンタルフロスを使った
歯間部のお掃除です。
正しい歯の磨き方は、歯石除去と併せて定期的にかかりつけの
歯科医院で指導を受けましょう。
できるところは御自分で、とどかないところは歯科医院でお掃除しましょう。
また、喫煙は歯周病、糖尿病の両方を悪化させますので禁煙を心掛けましょう。