健康に長生きしたければ、歯科健診を受けましょう!
一般社団法人太田新田歯科医師会
学校歯科委員会担当理事
大木歯科クリニック 院長 大木晴伸
春に各学校で歯科健診を行っていると思いますが、もう治療はお済でしょうか?
また、治療勧告書を受け取り早々に治療した方は、そろそろ健診の時期では?
「今年は治療勧告書をもらわなかった!」と言って歯科受診をしていない方はいませんか?
本日は歯科健診についてお話します。
我々歯科医師は患者さんが来院されると『 主訴 視診 触診 打診 レントゲン CT MRIなどの画像検査 生化学検査 病理検査 等』様々な検査を行い、診断を確定、治療計画を立てます。
しかし、学校健診ではこのような検査は出来ず、視診のみです。保健室などで児童生徒さん達と会い向かいに座り、口の中を診させてもらいます。正直全然見えないのです。しかも短時間に何百人も診なければなりません。そんな状況では正しい確定診断は出来ません。
我々歯科医師は「学校歯科医の活動指針」というマニュアルに沿って保健活動を行っておりますが、その中に学校健診は「スクリーニングすること」だと明記されています。ですから疑わしい点があれば、再度専門医に診断してもらうように案内を出します。また、学校歯科健診は年に1回を義務付けられておりますが、言い換えれば学校では授業の他様々な行事が有るので、それ以上時間が取れないというのが現実です。しかし、前述の通り確定診断ができず、そもそもむし歯は数か月、歯肉炎は数日でも状態が変化し、年に1回の健診では足りずご自身でかかりつけ医でお口の中をチェックしてもらう必要があります。
様々な研究により、口の中の状態が全身の健康に大きく影響することが解っています。成人病と呼ばれる疾患がいくつかあります。主に生活習慣に関連する要因が原因となり発症する疾患ですが、例えば高血圧の予防は?栄養素バランスの良い食事 適度な運動 十分な睡眠・・・では糖尿病は?栄養素バランスの良い食事 適度な運動 十分な睡眠 高脂血症は?栄養素バランスの良い食事 適度な運動 十分な睡眠・・・疾患が違うのに予防策は皆同じ しかしそれで本当に予防できるのでしょうか?
お口の中の2大疾病『むし歯』と『歯周病』。この二つは理論上100%磨ければ絶対に起こりません。そしてこれらが起こらなければ成人病にも罹患しづらくなります。重症の糖尿病と重症の歯周病が両方患っている方が歯周病を改善するだけで、糖尿病も改善してくるという事例はいくつもあります。さらに高齢になってからのボケ、アルツハイマー病の予防にも口腔内の健康が大きく関わります。
児童生徒さんは学校からの「治療のお知らせ」の紙をもらわなくても年に何回か歯科にチェックを受けましょう。また、日本人は高校を卒業すると健診を全く受けない人の割合がとても多くなります。大人の方も「どこも痛くなくても」年に2~3回は歯科健診を是非受けて下さい。それがあなたの為です!