なんでそれにしたの?

太田新田歯科医師会
えん歯科クリニック
院長 丸山 亮

なんでそれにしたの?

 

一番安かったから?一番安いとやっぱり良くないのかも、かといって高いのはもったいないし、中間で?なんとなくふつうって書いてあるから?

今日は歯ブラシの選び方のお話。

鈴木さんは何で歯ブラシって選んでいますか?

今回は、タフトブラシなどの形状が違う種類は割愛します。歯間ブラシやフロスについては何度も話されているので、今回は歯ブラシのみに絞っています。

このコーナーで最後に紹介されたのは2012年の1月なのですが、ここ十年で歯ブラシも多種多様に変化を遂げました。ヘッドがコンパクト化していったり、今は逆に毛束を増やしたり、時代によって変化しています。

そこで、今回は3項目に絞って考えたいと思います。

歯ブラシには色々な判断基準があり、定期通院している歯科医院の方針もありますので、選ぶのに悩んだ際の参考にしてください。

  1. 硬さ(やわらかめ、ふつう、かため)
  2. ヘッドの大きさ(ふつう、コンパクト)
  3. 毛先の形状(ラウンド毛、テーパー毛)

他の判断基準に、毛の材質(ナイロン・PBT・天然毛など)、ハンドルの形状(ストレートorカーブ)、ブラシ形状(フラットor山形)などがあげられますが、今回は省略します。

毛の硬さでよく目にするのは「やわらかめ、ふつう、かため」の3種類かと思います。

最近では、5段階に分かれている製品もあるようですが、数は少ないと思います。硬さは毛の材質、太さ、本数で決まってきます。毛の硬さの選択のポイントはご自身の歯肉の状態によって決めるといいでしょう。歯磨きの際に出血しやすく、痛みがある方はやわらかめをお勧めします。特に症状のない方はふつうでいいでしょう。

かためを選択される方は多くはないでしょうし、歯科医院で勧めることは少ないように思いますが、かためにも実はメリットがあります。かたいので、汚れ落ちがよく、型崩れや摩耗がしにくいので長持ちすると言われています。丁寧にブラッシングできる方、繊細にブラシを動かせる上手な方のみ勧めることができます。

ヘッドの大きさですが、上の前歯2本分程度がふつう、それより小さいものをコンパクトと呼ぶことができます。

普通サイズであれば1ストロークで磨ける面積も大きく、清掃効率がいいのですが、奥歯や歯並びの悪いところでは、きれいに磨くことができません。

コンパクトでは、奥歯や歯並びの悪いところも磨きやすくなりますが、清掃効率は落ちるので、より時間を割いて、丁寧に磨くことが求められます。

毛先の形状ですが、ラウンド加工は先が丸いので歯茎を傷つけにくいメリットと広い面積の部分、咬む面の部分の歯磨きに適しており、溝や歯茎と歯の段差の部分は苦手とします。

テーパー毛は、先が細く長くなっているので、溝や歯茎と歯の段差の部分、へこみのあるところを得意とします。先が細くなっている分、毛先が曲がってしまいやすいのが欠点です。つまり歯ブラシの交換サイクルが早いのです。

毛先形状は朝、昼、晩で使い分けるのがコツといってもいいかもしれませんね。

歯ブラシは奥が深く、ブラシによって磨き方も違います。歯磨きの練習自体が小学校以来やってないのではないでしょうか。定期通院している方もそうでない方も、一度歯科医院で、自身の歯ブラシと磨き方について相談してみてはいかがでしょうか。