噛みんぐ30(カミングサンマル)運動

太田新田歯科医師会
恩田歯科医院
院長 恩田裕司

皆さん、「カミングサンマル運動」って知っていますか?よく耳にする、「8020運動」ではありませんよ。

カミング30運動とは、「ひとくちで30回以上噛んで食べましょう。」その「食べ方」をとおして、より健康的な生活を目指そう。という厚生労働省の提唱する運動です。

よく噛むと、どんな良いことがあるのでしょうか?

  1. 肥満を防ぐ
    早食いの人ほど肥満傾向にあると言われています。よく噛むと満腹中枢が刺激され、少ない量の食事で、満腹感を得られるので食べすぎを防ぐことができます。
  2. 唾液の分泌をうながす。
    よく噛む事で唾液が分泌されます。唾液は口の中の細菌を洗い流し虫歯や歯周病を予防する働きがあります。
  3. 脳の働きが活発になる。
    よく噛むことで歯や舌をはじめ、味覚などの刺激が脳内に直接伝わります。さらに、顎の関節が動くことで、脳内の血流量がアップし脳の働きが活発になります。これらによって、記憶力・判断力・集中力が高まり、結果、寝たきりや認知症の予防改善にもつながります。

でも、カミング30を実践するのは、なかなか、
簡単にはできないのではないか?と思います。

そこでカミング30実践の、工夫を紹介したいと思います。

  1. 一口あたりの量を減らす。
    食事の量が同じでも、一口あたりの量を減らせば、たくさん噛めるのではないかと思います。
  2. 咀嚼回数を多くする。
    例えば、歯ごたえのある食品を選ぶ。ということになります。
  3. 食事の時間に余裕をもつ。
    時間がないと、早食いになってしまいますからね。まずは、一口あたりの量を減らすところから始めてはどうかと、思います。

ところで、成人の歯の本数を、ご存知ですか?

成人では、28本です。親知らずをふくめると32本になります・

噛むためには、ある程度の歯の本数が必要です。一般的に歯が20本以上あれば、食事に制限はなく、何でもおいしくたべられます。

しかしながら、歯の本数が十分であっても、右側のみ、左側のみなどの「片側噛み」が癖になっていると、歯や顎の関節を痛めるばかりか、顔のゆがみや、頭痛などの、からだの不調を引き起こすことがあります。「片側噛み」は虫歯や、歯周病、歯並びの悪さなどが、原因の場合があるので、一度歯科医に相談すると良いでしょう。

また、中高年になると、歯周病で歯を失うリスクが高くなります。このような、年代では、健康に気を付けながら食べたいものを食べるというよりも、歯の状態に合わせて食べやすい食品を選択しがちで、それが習慣化してしまいます。

すでに多くの歯を失ってしまわれた人は、かかりつけ歯科医による入れ歯の治療を受け、噛む機能を回復させることが大切です。

良く噛めることは、長生きで健康的なからだを保つことにつながります。定期的な歯の健康チェックと十分なブラッシングを行い、よく噛める状態を保つことができるならば、それは、なによりにも勝る、財産といえるでしょう。