健康における歯の大切さ・定期検診の大切さ

太田新田歯科医師会

医療法人恵優会 理事長 八木 大輔

 

私たちの平均寿命が伸び最近では「人生100年時代」といわれるようになりました。健康寿命がどのくらいあるのかはQOL(クオリティ・オブ・ライフ)にとって非常に重要です。

 

健康寿命を長くする要素として、歯の健康がとても大切になることが様々な研究でわかってきました。年を重ねても歯をどのくらい残せているか、またその残っている歯がどれくらい健康な状態かが重要ということです。

 

歯は、食べ物を噛み砕くためだけのものではありません。会話の発音を助けたり、顔の表情をつくるなど日常生活に必要な役割を持っており、歯を失うと食べ物が噛みずらくなるだけでなく体全体にも影響が出てきます。

 

最近の研究によると歯の数と認知症の関係性が確認されています。歯を失うことで脳への刺激が減り、歯が20本以上残っている人と歯があまりない人で比べると認知症のリスクが約1.9倍になるという結果も出てきています。また、歯の健康を維持する上で非常に重要な病気が歯周病です。

 

歯周病は歯茎が炎症してしまう病ですが、これが歯に悪いだけでなく、身体全体に悪影響を及ぼすということも分かっています。炎症した歯茎から菌や炎症物質が身体に入り込み、血管を通じて全身に悪さをします。それによって、糖尿病・高血圧・脳梗塞などの病気を引き起こしやすくなるということが分かっています。また、歯のかみ合わせのバランスが悪くなると、顔にしわができたり、あごや関節が歪んだり、姿勢や背骨の歪みなどに影響が出る方もいます。

 

私たちの歯は一度を失ってしまうと戻ることはありません。1日でも長く持たせるためには適切な歯磨きに加え、歯科医院での定期的検診を受け、早期発見・早期治療を行うことが重要です。定期検診で小さい虫歯が見つかれば、痛みが出てから治療するより治療回数も治療費も最小限に抑えることができます。

 

もし、長い間歯医者に行っていない、もしくは少し気になるところがあるけどそのままにしてしまっている方は、ぜひかかりつけの歯医者さんで検査してみてはいかがでしょうか?