口腔内乾燥について

太田新田歯科医師会

古室歯科クリニック

古室 浩明

先日、ある患者さんから「歯の尖っている部分が舌に当たって痛い」と言われました。口の中を診させてもらいましたが、特別尖っている部分はありません。どこが痛いか患者さんに舌でさわってみてもらうと、歯と詰め物の段差の所でした。研磨して痛くなくなったとのことでしたが、通常問題にならないほどわずかなものです。

よくみると口の中がカラカラに乾いており、唾液がとても少ない。唾液が不足すると、舌や頬の粘膜の滑りが悪くなり傷や口内炎ができやすくなってしまいます。この方の場合、唾液が不足したためわずかな段差の所で舌に小さな傷ができてそこが痛くなったのだと思われます。

唾液が少なくなると、口内炎ができやすくなるだけではありません。唾液には免疫成分が含まれるため、これが減ればむし歯や歯周病にかかりやすくなりますし、ものを飲み込みにくくなったり喋りにくくなったりします。他には口が臭う口臭の原因になったりします。

とかく嫌われがちの唾液ですがいざ少なくなってみるといろいろと困る事も多く、日常生活の中でとても役に立っていることがわかります。

唾液の不足する原因やその治療法は様々です。心当たりがあればかかりつけの先生に相談してみるといいと思います。