「人生100年時代」における歯の大切さ

太田新田歯科医師会

医療法人恵優会 理事長 八木 大輔

私たちの平均寿命は伸び最近では「人生100年時代」といわれるようになりました。そのうえで健康寿命がどのくらいあるのかはQOL(クオリティ・オブ・ライフ)にとって非常に重要です。さらに新型コロナウイルス感染症の影響により、運動する機会が減ったという方も増えたのではないでしょうか。こんなご時世だからこそ、これまで以上に健康について気を付ける必要があります。

健康寿命を長くする要素の一つに歯の健康が大切であることが様々な研究でわかってきました。年を重ねても自身の歯を1本でも多く残せているか、また残っている歯がどれくらい健康な状態を保ち続けられるかが重要になります。

私たちの歯は、食べ物を噛み砕くためだけのものではありません。会話の発音を助けたり顔の表情をつくるなど日常生活に必要な役割を持っており、歯を失うと食べ物が噛みずらくなるだけでなく体全体にも影響が出てきます。

最近の研究によると歯の数と認知症の関係性が確認されています。歯を失うことで脳への刺激が減り、残っている歯が少ないほど認知症のリスクが大きくなるという結果も出てきています。

また、歯の健康を維持する上で非常に重要な病気が歯周病です。歯周病は歯茎が炎症してしまう病ですが、歯に悪いだけでなく、身体全体に悪影響を及ぼすということも分かっています。炎症した歯茎から菌や炎症物質が身体に入り込み、血管を通じて全身に悪さをします。それにより糖尿病・高血圧・脳梗塞・認知症などの病気を引き起こしやすくなるということが分かっています。また、歯のかみ合わせのバランスが悪くなると、顔にしわができたり、あごや関節が歪んだり、姿勢や背骨の歪みなどに影響が出る方もいます。

私たちの歯は一度を失ってしまうと生えてきません。1日でも長く健康な歯を維持するためには適切な歯磨きも大事ですが、歯科医院で定期的に検査を受け、歯のトラブルを早期発見・早期治療を行うことが重要です。定期検診で小さい虫歯が見つかれば、痛みが出てから治療するより治療回数・治療費も最小限に抑えることができます。

気になるところがある方や、しばらく歯医者に行っていないという方は、ぜひ歯医者さんに行ってみてください。