喫煙と歯周病
歯周病とは、歯を支えている組織に起こる疾患です。
重症になると、歯がぐらぐらになり、膿がでてやがて歯がなくなってしまいます。
歯を失う原因のトップです。
歯周病は細菌による感染症です。
しかし、その発症や進行には、多くの危険因子が関与しています。
例えば、糖尿病などの全身疾患、ストレス、歯ぎしり、くいしばりなどの咬合習癖、女性ホルモン の変化、喫煙などです。
これらの中で、喫煙が最大の危険因子であること。
喫煙者は喫煙未経験者の4倍の確率で歯周病に かかりやすいことが、アメリカの研究者によって、1950年代に明らかにされました。
また、歯の寿命が10年短くなり、2倍多く歯が抜けるとも言われています。
これは、ニコチンによる血管収縮作用により、歯肉が慢性的な血行障害を起こし、酸素や栄養が欠乏したり、細菌と戦う白血球が大幅に減少したりするためです。
歯周病は、むし歯と違い全体的に進行していくため、多くの歯を早期に失うことになります。
歯周病の治療は、患者さん自身がブラッシング、歯科医院での歯垢・歯石の除去によって、まずは細菌を減らしていくことが必要です。
しかし、喫煙されている方の歯肉は、治癒力が乏しく、薬も効きにくいため、進行を止めることが難しいのです。
私たちは、日々の診療において、患者さんに歯や歯肉なあらわれる喫煙の影響が、はっきりと分かります。
「この方は喫煙していなければ、こうはなっていなかったのに・・・。
ここまま吸い続ければ、こうなってしまうなあ。」と思うことがよくあります。
歯を支えている骨が、年齢以上に吸収してしまったレントゲンをみていただき、禁煙の必要性を説明しても、簡単にはやめられません。
長い間タバコのダメージを受けた組織は元には戻りませんが、治癒力は少しずつですが回復していきます。
一日でも早くやめていただくことが大切です。
それが何よりの治療になるのですから。
「タバコが、体に悪いのは知っているよ。」とみなさんおっしゃいます。
しかし、タバコの煙に、含まれている成分を、お聞きしてもニコチン、タールぐらいしか、ご存知ない方がほとんどです。
タバコの煙には、4000種類以上の化学物質、200種類以上の有害物質、40種類以上の発ガン物質が含まれています。
例えば、一酸化炭素、ヒ素、カドミュウム、ホルムアルデヒド、ダイオキシンなど、いずれも猛毒です。
まずは、毎日吸い込み、体に入れている煙の本当の姿を知っていただくこと、それが、禁煙の第一歩です。
なお、副流煙も度合いによっては、同様の影響があるのでご注意いただきたいと思います。