平成30年度スタッフスキルアップセミナー 報告書
平成30年度 太田新田歯科医師会スタッフスキルアップセミナー
「歯周病治療をもう少し深く考えてみよう!!」
講師 明海大学歯学部 准教授 辰巳 順一先生
日時 平成30年11月23日(金) 10:00~12:00
会場 宝泉行政センター
太田新田歯科医師会では、歯科医院に勤務するスタッフへ向け毎年セミナーを開催しています。今年度は中央医療歯科専門学校、太田医療技術専門学校と共催にて、明海大学歯学部 准教授 辰巳順一先生にご講演をしていただきました。講師 辰巳順一先生は、歯周病治療の第一人者として活躍されています。
本講演では、「最新の知識と正確な診断で治療が変わる」というコンセプトで、歯周病の原因、診断、治療をわかりやすくご講演いただきました。
・歯周病治療についての歴史
・歯周病の発症に関わる因子
・歯周病に関与している細菌の最新のトピック
・喫煙と歯周病について
・根分岐部病変について
・インプラント周囲組織について
など歯周病について幅広い内容をお話しくださいました。
辰巳先生は穏やかな語り口で、難しい内容もわかりやすく説明していただきましたので、講演が始まってすぐに先生のお話に引き込まれました。
歯周病は、1930年頃は歯石を除去すれば治ると思われていましたが、2000年頃にはRed complexの細菌感染によることがわかり、2010年頃からは細菌の共生状態の破綻から発症すると考えられているということでした。
また侵襲性歯周炎の罹患率は人種によって異なり、A.a菌JP2クローンに感染していると侵襲性歯周炎を発症する率が高いそうです。
口腔内から歯周病に関与している細菌は抗生剤などを服用しても完全になくすことはできないので、プラークコントロールの大切さを説明してくださいました。
また根分岐部病変については、歯根の構造やエナメル突起の存在、それについての診断、使用する器具などを説明していただきました。
分岐部病変についての外科処置の症例も見せていただきとてもきれいな手術で大変勉強になりました。
近年インプラント治療が進んでおり、インプラントを行っている医院はもちろん行っていない医院でもインプラントが埋入してある患者さんが来院されることが増加していくので、インプラントに対する知識やメンテナンスシステムを構築していく必要があるということでした。
今後、国民が高齢になっても「うまいもの」をおいしく食べ、長く健康で生
できるようにするために、全身の健康にも密接に関係している歯周病を予防する必要があります。その点で今後はますます歯科衛生士の活躍が期待されます。
今回の講演会で歯周病についての知識の整理とバージョンアップができ、ドクター・衛生士・デンタルスタッフみんなが歯周病治療にどのように向き合うか
を考え直すきっかけになる講演会でした。
(文責 太田新田歯科医師会 公衆衛生委員会 松尾直大)