口腔ケアとインフルエンザ

太田新田歯科医師会

                 永倉歯科医院  永倉学 

インフルエンザのシーズンを迎えるにあたり、今日はインフルエンザの感染と口腔ケアについてお話ししたいと思います。

インフルエンザの予防としてはまず1・手洗いうがい、そして2・ワクチン接種、3・マスクの着用などがあげられます。マスクはむしろ相手にうつさないためのエチケットでもあります。

今回はこれらに加え口腔ケアを予防の一つとしてお話ししようと思います。

なぜお口の中を清潔に保つことがインフルエンザの予防につながるかといいますと、口の中にはさまざまな細菌がいます。その細菌が出す酵素によって感染をしやすくなるのです。

すこし細かく説明しますとそのお口の中の細菌がだす酵素のプロテアーゼやノイラミニダーゼというものがのどの粘膜を保護している層を破壊してそこにウイルスを付着し易くしてしまいます。

さらにそれだけでなくノイラミニダーゼはインフルエンザウイルスが増えるのを手助けすると言われています。

インフルエンザにかかると使うタミフルやリレンザといった薬はこの酵素の働きを断ち切ることによってウイルスを増やさないことによるインフルエンザの薬でもあります。

したがってこれらの酵素を出す細菌をいかに減らし口のなかを清潔に保つかということがインフルエンザ予防につながるかということになります。

またそのことに関する具体的な発症率のデータも報告されています。

ある高齢者施設において歯科衛生士さんが口腔ケアを実施したグループと、していないグループで、実施したグループでは98名中インフルエンザにかかってしまった方は1名、実施していないグループでは92名中9名がかかってしまったという報告があります。

少数例ではありますがその比は1対9となり、そのような報告からも口腔ケアがインフルエンザの予防に効果があるかということになるかと思います。

ということでインフルエンザ予防にはまずは手洗い、うがい、そしてワクチン接種にそれに加えてあと一つ口腔ケアを追加していただきたいと思います。

口腔ケアによってむし歯、歯周病の予防はもとより、肺炎、特に高齢者の方の誤嚥性肺炎もかなりの割合で予防できます。

ぜひもう一度ご自分の口の中を清潔にすることに向き合っていただければと思います。

子供の歯科医院へのかかり方について

今日は子供さんの歯科医院へのかかり方と私たち、歯科医が子供さんの治療に対して気をつけていることについてお話ししたいと思います。
子供さんが、初めて歯科医院にかかる事は、年齢によっても違うと思いますが、連れて行く保護者の方、そして子供さんにとっても、緊張する場所かもしれません。

しかし、初めから歯科医院は怖いところというイメージを子供さんに植え付けないように、不安がらせないように気をつけて下さい。
保護者の方が痛い、怖いと思ってしまうと、お子さんも同じように感じてしまうので注意して下さい。

例えば、小さなお子さんの場合は、少しでも怖がらないようにお気に入りのおもちゃなどを持っていくといいでしょう。
まず、診療室では、歯科医は保護者の方からお子さんの様子、症状を聞くところから始まりますが、なるべく詳しくお話して下さい。
年齢にもよりますが、お子さんの訴えでは、痛い歯が上下左右を聞くたびに違う事が良くあります。

レンドゲンなど検査をする事が出来ない場合もあります。
ですから、歯科医は保護者の方からのお話とお子さんの症状を診て、診査診断をし、治療方針を決めます。
小児歯科の治療は、成人歯科と違い、歯科医と患者さんの1対1の関係ではなく、そこに保護者が入ります。
ですから、三者の信頼関係を得るためにも、気になる事は遠慮なく聞き、お話して下さい。処置や治療は、歯科医の説明や考えを保護者の方に納得してもらったうえで始めます。

また、お子さんの年齢によって、私たち歯科医の接し方も変わってきます。
1~2歳くらいのお子さんに対しては、歯科医の話かけがまだ理解できませ
んが、声の調子や表情などから何らかの意味を感じ取るので、やさしい言葉使いで話しかけながら治療するよう心掛けます。
また、大きな音を怖がるので気をつけます。
3~4歳くらいのお子さんに対しては、こちらの話かけの内容が理解できるようになる反面、感情が発達してくるので、知らない人や見慣れない場所、予防注射などの経験から歯医者さんを怖い人と思い、治療に対し不安や恐怖を示します。
ですから、少しでも怖がらずに治療できるように、やさしい言葉使いで歯科治療がどうして必要なのかを説明し、納得させて治療するようにします。
5~6歳のお子さんに対しては、こちらの説明や説得を十分に理解できます。そして、どうして虫歯治しをすることが大切か理解できるようになり、治療に対して我慢できるようになります。

このように、年齢にあわせて子供さんに接し、治療するよう私たち歯科医も努力しています。
また、一般的にどの年齢の子供さんに対しても、いくつかの注意する点があります。コミュニケーションをはかる、治療は能率的に行い治療時間をなるべく短くする、待合室で長い時間待たせない、必要な時間以外はなるべく器具を見せない、痛みはなるべく与えない、子供さんにうそはつかない、治療内容をわかりやすく説明するなどです。

ほとんどの場合、歯科医院へ行くのは、お口の中に何らかの異常や病気を見つけてからでしょう。
でも、腫れたり痛くなったりと症状が出てから診療をうけるよりも、虫歯にしないようにするフッ素塗布の予防処置もありますから、健康を確認するためにも歯がはえてきたら、一度受診して下さい。

ふじい歯科小児歯科

虫歯になりにくい子

太田新田歯科医師会

MK歯科クリニック 増田康展

 

生後間もない赤ちゃんには虫歯菌はいません。

虫歯菌は人(特にご両親)からうつります。最も虫歯菌がうつりやすい期間は生後19~31か月の間(1歳半から3歳)と言われ、うつるのが遅いほど虫歯になりにくくなります。

お子様とのお箸の共有や、砂糖の摂取を控え、ご両親ご自身の歯のケアもしっかりとする事が虫歯からお子様を守る近道と言えるでしょう。

ただし、あまりとらわれ過ぎずにスキンシップは大切にして下さい。

砂糖の摂取量が気になる場合は、虫歯の発生を防ぐ天然甘味料のキシリトールを使用した食材(おやつ等)を食べることをお勧めします。

砂糖は虫歯菌が分解・発酵させ酸を作りだし、歯の表面が溶かされて虫歯となります。一方キシリトールは酸が発生しない上、唾液中のカルシウムが歯の表面と結び付き再石灰化を活発にします。

キシリトールは口の中に長く留まらせないと効果がないため、キシリトールガムやタブレットを上手に使って虫歯予防をしましょう。

そして、定期的にかかりつけ歯科医院を受診してお口の健康に気をつけましょう。

歯と口の健康フェア

太田新田歯科医師会

長島歯科医院 長島広明

 

太田新田歯科医師会では、8月30日(日)イオンモール太田2Fイオンモールにて、午前10時から午後5時まで、「歯と口の健康フェア~歯っぴいライフで8020~」と題し、市民の方々への歯科情報の提供、口腔ケアに対する意識の向上をして頂くことを目指したイベントを開催します。

毎年、「むし歯予防デー6月4日」にちなみ6月第一日曜日に開催をしておりましたが、今回は会場の都合により6月開催ができず、8月30日の開催となりました。

今回のフェアの内容は

  • ミニ市民公開講座

(歯周病、むし歯、矯正治療、顎関節症、食育など、それぞれ専門家による20分程度の講演)

  • 歯磨き指導 フッソ塗布
  • 位相差顕微鏡(自分の歯垢の中の細菌観察)
  • 歯型採り
  • 血管年齢測定 骨密度測定
  • 歯科相談
  • 血圧測定 栄養相談
  • バルーンアート
  • 歯科関連企業による展示

歯、歯肉、口の中の疾患は、全身の健康に大きく影響します。この健康フェアを機に、歯と口の状態に関心を持っていただき、日頃の口腔ケア、口腔管理に役立てて頂きたいと思います。小さなお子様からご年配の方々まで元気で楽しく健康ですごせるように、さまざまなイベント、健康情報を準備し企画をしております。ぜひご来場お待ちしております。

またこのフェアは、過日、市内小中学生を対象に応募いただいた歯科保健啓発図画ポスター標語コンクールの優秀作品の展示会を兼ねております。こちらの方もご覧になっていただきたいとおもいます。

「歯と口の健康フェア」は、今回で21回目の開催となります。去年は1500名以上の方々に来ていただきました。今回は開催時期がいつもと違います。夏休みの最後の日曜日ですが、沢山の方々のご来場をおまちしております。またご来場の方々には素敵なプレゼントも用意しておりますので、ぜひお立ち寄りください。

痛いときに行く歯科医院から定期的に行く歯科医院へ

太田新田歯科医師会

小森谷歯科医院 小森谷和之

 

歯科の二大疾患といえばむし歯と歯周病です。現在ではこの二つは予防することができるようになってきました。

何度も通っていただいた治療が終わると、患者さんの笑顔は明るく華やいで喜びにあふれています。私たちにとっても、そこに至るまでの努力が報われる嬉しいひと時です。

患者さんはみなさん、「これからはこの状態が長持ちするようにずっと大切にして

いきます。」「セルフケアを丁寧に続けていこうと思います。」と言い、歯みがき指導を熱心に受け、歯みがき法をマスターしてくださいます。

そんな方たちにセルフケアのほかにもう一つ、私がお願いしていることがあります。それは、「メインテナンスを受けに今後も定期的に来院してください」ということです。

自分だけでお口の健康を守ろうとするのではなく、歯が痛くなくても定期的に歯科医院に受診し、お口の健康チエックや、クリーニングを受けて頂きたいです。

治療が終わったからと言って、私たち歯科医師や、歯科衛生士との付き合いまで終わらせないでください。今後も一緒にきれいな歯と、お口の健康をも持っていきましょう。

治療の終わりは再発予防の始まりです。