水分補給にご注意を

太田新田歯科医師会

橋本歯科クリニック

院 長 橋本 隆宏

 

「水分補給にご注意を」

ニュースでも季節外れの猛暑・・などと「水分をこまめに取って、熱中症を予防しましょう」と耳にするようになりました。

本格的な夏を迎える前のこの時期に大切な水分の取り方について考えてみましょう。現在、身体への吸収に優れた経口補水液やスポーツドリンクを目にしますが、それらを補給するための入口である「歯と口」に対する注意がされていないのが現状のようです。

まず、激しい運動などをしていない時の水分補給には、ミネラルウオーターやお茶類が一般的だと思われます。ところが、自動販売機やコンビニエンスストアには、常に新しい味や、パッケージで魅力的な飲み物が並んでいます。

特に、キャップを開ければすぐ飲めるペットボトルの飲み物が主流になりましたが、これらの中には糖分が含まれている物が多くパソコンなどのデスクワークの合間に、「ちびりちびり」と飲みながら仕事をすることは長時間、飴をなめていることと同じになり、お口の中にむし歯を発生しやすい状態に近づけてしまいます。もちろん適量の糖分は疲れた脳や身体には大切なものでもあります。

出来れば休憩時間や食事の後など決まった時間に取り、その後は必ず「歯磨き」をしてお口の中をリセットする必要があります。口の中には、ご存知の通り、唾液という歯や口の中を悪い菌などから守ってくれる優れたバリアーが存在します。

ところが、糖分が休みなくひっきりなしに口の中にあると、唾液は本来の力を発揮出来ずに、むし歯菌が糖分を利用して酸性物質を発生し、歯を溶かしてむし歯を作ってしまうのです。

次に炎天下の野外活動やスポーツの際ですが、水分だけで無くミネラル分の補給も必要になって来ます。

しかし、市販のスポーツドリンクの中には思ったよりも多くの糖分が入っており、出来れば源液を少し水で割って使用するなどの工夫が必要です。また、同時に熱中症予防対策用の飴もできればシュガーレスタイプを選びたいものです。

こまめな水分補給や熱中症予防対策が逆に糖分の取りすぎや、むし歯の発生につながらないように、身体のメンテナンスだけでは無く「歯と口」にも気を配りながら、この夏を乗り切りましょう。